自分は女優業に向いていない…『グラインドハウス』ローズ・マッゴーワン、監督デビューの理由
テレビドラマ「チャームド~魔女3姉妹」、映画『グラインドハウス』のローズ・マッゴーワンが、初監督した短編作『ドーン(原題) / Dawn』について語った。
【写真】ローズ・マッゴーワン主演『プラネット・テラー in グラインドハウス』ギャラリー
1960年代が舞台の本作。厳しい家庭で育った少女ドーン(タラ・リン・バー)が、ガソリンスタンドで働くフットボール少年チャーリー(ライリー・マクレンドン)に惹(ひ)かれ、彼と友人のカップルにドライブに連れ出されるが、その道中でチャーリーが運転する車が暗い道を突き進み、その先には思わぬ展開が待ち受けていたというストーリー。
監督への願望について「頭の中にビジョンを持っていて、徐々に監督する気になったの。ただ女優として作品ごとに契約を結び、撮影で1日14~15時間も取られると、残りの時間で頭を働かせて新たなことができなかった。それに正直、自分が女優業にあまり向いていないかもと思い始めていた。また個人的にライターを尊敬し、父親もライターだったことで、これまで女優として観客に何かを感じてほしいと思っていた考えが、監督として何かを観客に感じてほしいという考えに変わっていったの」と女優業への行き詰まりも感じていたことを明かした。
今作のセットデザインもローズ自らが行ったそうだ。「主人公ドーンのベッドルームは、映画『罠にかかったパパとママ』にオマージュをささげたデザインで、縫いぐるみやベッドはあの映画に似ているかもしれない」と答え、さらに1960年代を舞台にしたことについては「わたしの母がこのドーンと似たような家庭で育ったの。その後1970年代はヒッピーや自由な精神で大きく変化したから、そんな変化が訪れる前の時代に興味を持ったの」と語った。
これから長編作『ザ・パインズ(原題) / The Pines』でもメガホンを取るが、今後女優業については「監督をすることで、良い役柄を手に入れようと思っているわけではないの。でも、(セクシー路線の)女優扱いを受けることから脱却する手段がうまく見つからなかった。その上有名になったことをものすごく不快に感じていて、旅行中に一般の旅行者から追い掛けられたことも過去にはあった。ただ、アートと映画が好きだから、これからも作品次第では女優をするけれど、今は監督することが自分にとっては一番意味があるわ」と明かした。
映画は、わずか17分だがストーリー構成が簡潔で、メッセージ性もあり、彼女の才気をうかがわせる作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)