吉田羊「基本、自分に自信がない」乗り越えるためにしていること
映画『HERO』インタビュー
テレビドラマ「HERO」シーズン2の新メンバーとして馬場礼子検事を演じ、大ブレイクを果たした吉田羊が、人生を変えた『HERO』について、そして役を演じることへの思いを語った。
シーズン2の新メンバーとして、さっそうと登場した馬場礼子は、フェロモン全開で、仕事をバリバリこなす検事だ。そんな本作を吉田は「宝物のような作品」という。「吉田羊という女優の知名度を圧倒的に上げたという意味で、きっと今後も『HERO』を超える作品はないと思っています。礼子さんは、常に自分の隣に置いて一緒に歩んでいく存在。吉田羊=馬場礼子というパブリックイメージがあるとすれば、それは役者冥利(みょうり)に尽きますね」。
クールに見られがちだが、実は「情にもろい」タイプ。そうした素顔は、馬場検事との共通点だとか。「礼子さんは、生徒会でいえば副会長的な役割かな。仕事はできるので、信頼されて仕事をふられる。でもプライベートではお酒と男に弱いので、全部をこの人に任せるのは恐い。だから、会長にはなれない(笑)。彼女はきっと、何事においても全力な人なんです。案外仲間思いだし、情にもろいところもある。わたし自身は、社交性のある『ひとり好き』。面倒くさいヤツです(笑)。『ひとり焼肉体験』するほど単独行動は好きなのに、完全な孤独はイヤなんです(笑)」。
そんな愛らしさも、馬場検事に反映されているのかもしれない。女優になるきっかけも「自分は協調性も社会性もない人間だと自負していたから」だという。「性格的に会社勤務が向いていないんじゃないかと思っていたんです。小さいときからお芝居は好きだったので、もしかしたらそっちの世界に興味があるのかと思って。そしたら就職活動中に、たまたま情報誌に、『3か月後にやる舞台に出てくれる女優さん探しています』という募集を見つけまして(笑)。性格的に、やりたいときにすぐやりたいので応募しました」。
協調性と社会性は、芝居を通して学んだという。そして、大事にしていることが一つある。「基本わたしは、自分に自信がないんです。役を演じることで、ようやく人前に『立てる』ところがあるんですね。なので、役を最大限リスペクトするのが大前提。その役をわたしが汚してはいけないと思っています」。馬場礼子がステキなのは、吉田羊の思いが宿っているから。最新映画『HERO』(2015)でも、その輝きは増している。(取材・文:相田冬二)
映画『HERO』は7月18日より全国公開