二階堂ふみ、妖艶な金魚に!室生犀星「蜜のあわれ」が石井岳龍監督で実写化
女優の二階堂ふみが、文豪・室生犀星の同名小説を実写化する2016年公開の映画『蜜のあわれ』で主演を務め、妖艶な金魚の姿を持つ少女・赤子を演じることが明らかになった。
徳田秋声、泉鏡花と並んで金沢三文豪と称される室生の晩年の超現実主義的小説を基にした本作は、普通の人間にはわからない金魚の正体を持つ少女と、彼女と共に暮らす老作家の耽美な世界を描き出す。自分のことを「あたい」と呼ぶ、丸いおしりと愛嬌のある顔が特徴の赤子役を二階堂が務めるほか、赤子に「おじさま」と呼ばれ、一緒に寝たりする老作家に大杉漣がふんする。物語の鍵を握る老作家の過去の女役は明かされておらず、誰が演じるのか注目を浴びそうだ。
映像化困難といわれた本作のメガホンを取ったのは、『ソレダケ/that's it』などの石井岳龍監督。撮影は、監督が改名する前の石井聰亙名義で手掛けた『狂い咲きサンダーロード』の名カメラマン・笠松則通が担当し、室生の地元である石川県・金沢市を中心にロケが行われた。
高校生のころに原作を読んだという二階堂は、「映画化するなら絶対に自分がこの赤子という役をやりたいなと思ってました」と念願の役に歓喜。「私が演じた赤子はすこし自分自身が子供にかえっているような気がしています。すごく無防備で、愛おしいキャラクターです」と自身の役を説明すると、「高野文子さんの漫画の動きをイメージしたり、知り合いの子供がやっていたことを真似してみたりとか、金魚ってこういう動きするかな……と手探りでやる作業がとても楽しかったです。人間以外の役をやるのは猫、狸に続いて、実は3回目なんですが、意外と人間以外もいけるな、と思いました(笑)」と特殊な役柄を振り返った。
原作について「くらくらしてとっても楽しいと思いました。金魚や幽霊と小説家がこんなに活き活きと会話をし続けるお話が面白くない筈がないです」とすっかり魅了された様子の石井監督は、撮影を「時間との闘いで日々乗り切るのに必死でした」と述懐。「原作の持つ面白さ、不思議さをいろんな側面からより映画的に豊かにしたい」という思いから、本格文芸ドラマでありながらファンタジーやエロス、ミュージカル要素などを盛り込んだという。監督が「見どころ満載の、おかしくて切なくて愛しい至福の作品になると思います」と自信をのぞかせる本作に期待したい。(編集部・吉田唯)
映画『蜜のあわれ』は2016年全国公開