カメが登場する園子温『ラブ&ピース』にカメの先輩・樋口真嗣も「でかした!」
鬼才・園子温監督が長谷川博己、麻生久美子出演で手掛けた異色作『ラブ&ピース』公開記念特撮トークナイトが10日に都内で行われ、特技監督の田口清隆、音楽の福田裕彦、プロデューサーの大月俊倫、アニメ・特撮研究家の氷川竜介、主人公の同僚役の女優・大沢まりをが出席。熱い特撮トークを繰り広げた。
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かつてロックミュージシャンになる夢を抱いていたサラリーマン(長谷川)が、1匹のミドリガメと出会ったことから始まる奇想天外な物語を描いた本作。園監督が特撮に初挑戦したことも話題となっているが、「今日はようやく特撮についていろいろと話せる」と笑顔で切り出した田口は、「園さんの演出をそばで見られたことが勉強になりました。僕は今まで低予算の特撮作品を多数やってきましたけど、今回はかなりぜいたくに特撮をやらせてもらった。今回の特撮は自分でもいけたなと思っている」と充実した表情。
一方、田口が手掛けた特撮の撮影現場に遊びに行ったときを振り返った福田も「(カメの)ラブちゃんが泣くところがあるんですが、あそこは(田口が)念入りにリハーサルを重ねていて。30回くらい延々とやっていたよね。低予算の特撮作品だと1日40カットから50カットくらいやらなければいけないのに、あのときは平均3カットくらいだったもんね」と述懐する。
イベントには、撮影に使用したラブちゃんも登場。「このラブちゃんの大きさはリアルな(『ウルトラQ』の『燃えろ栄光』に出てきた深海怪獣)ピーターだよね!」といったコメントや、「最初、音楽は『ウルトラQ』の『育てよ!カメ』のイメージだった」といったトークの数々が飛び出すも、「これはわかる人にしかわからないんじゃないかな」と心配そうな田口。しかし福田は「いや、今日のお客さんならわかる!」と自信たっぷりなコメント。その言葉を裏付けるように特撮好きの観客も大きな拍手で返した。
また、この日は田口が影響を受けたという平成『ガメラ』シリーズの特技監督だった樋口真嗣監督からの「カメの怪獣が東京をめちゃめちゃにした映画の代表がこの一作で変わる……のかよ!? チキショー、田口め。やりたい放題じゃないか。悔しいがでかした!」というメッセージが読み上げられた。それには田口も「僕は平成『ガメラ』を観てこの世界を志したので、うれしいですね」と笑顔を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ラブ&ピース』は全国公開中