生田斗真主演『グラスホッパー』殺し屋役・山田涼介、本物のナイフで撮影へ
生田斗真主演で伊坂幸太郎のベストセラー小説を映画化した『グラスホッパー』。生田演じる元中学教師で裏組織の一員になった主人公・鈴木や、裏社会に生きる殺し屋たちが交錯するさまが描かれる同作の撮影中、ナイフ使いの殺し屋にふんする山田涼介(Hey! Say! JUMP)の出演シーンでは、一部で本物の刃物が使用されたという。
もともと「映像的表現に挑戦した」小説なだけに、実写化に戸惑いを見せたという伊坂。製作陣は、数年前から交渉し続けた後に瀧本智行監督らによるプロットを見せて映像化の快諾を得たとのこと。どこか寓話(ぐうわ)的な要素を持つ伊坂作品の中でも、嫌味にならず善人である鈴木を演じられる人物として、『人間失格』など文学作品にも出演してきた生田を主演に据えて、『グラスホッパー』の撮影を2014年7月7日にスタートさせた。
昨年8月に角川大映スタジオで行われた撮影で、特にこれまでとは違う一面をのぞかせていたのが山田だ。『映画 暗殺教室』で暗殺者としての教育を受ける生徒を演じていた彼。くしくも今回も殺し屋役での出演となったが、撮影現場には脱色しスプレーで銀色にした髪で臨み、今までにないような鋭く冷たい目つきを見せていた。ナイフ使いの役ということで、バタフライナイフでの戦いの形を覚えるための練習日も設けられたという。CGではなく実物を用いるというこだわりは、常に命のやり取りをする殺し屋たちが有する独特の緊張感に拍車をかける。浅野忠信演じる殺し屋・鯨と対峙(たいじ)するシーンでは、撮影の中断やアクション指導の合間でもお互いに一定の距離を保ち続け、その緊張感を途絶えさせることはなかった。
そんな彼らをカメラに収めるのは、ベテラン撮影監督である阪本善尚。コンクリートむき出しの闇組織の人々のための空間が広がるセットは細部まで作りこまれ、ほこりかぶっている怪しい薬のほかチェーンソーやのこぎりなどが転がっていた。またその空間とミスマッチな新型のテレビが不気味な空間をより異様なものとしており、今回のテーマに「リアルとアンリアルの境界を作ること」があると認識させる。そのほかにも、セットとしては渋谷のスクランブル交差点を再現するために、東京ドーム約2個分の大きさがある千葉県の多目的商業施設「ロングウッドステーション」を使用した大規模セットも組まれたという。(編集部・井本早紀)
映画『グラスホッパー』は11月7日より全国公開