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背景がまさかの手書き!金獅子賞受賞スウェーデン巨匠の映像美

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まるで実写のような窓からの風景
まるで実写のような窓からの風景 - (C) Roy Andersson Filmproduktion AB

 第71回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、スウェーデンの鬼才ロイ・アンダーソン監督の映画『さよなら、人類』の徹底的に作り込まれた映像美の裏側がメイキング映像で公開された。『思い出のマーニー』で美術監督を務めた種田陽平も絵画のようだと評した、同作の世界観はどのようにして作られているのか。

絵画のよう!『さよなら、人類』フォトギャラリー

 全39シーンを固定カメラで1シーン1カットという独特なスタイルで撮影した本作は、種田陽平をはじめ、『CASSHERN』のVFX(視覚効果)を手掛けた木村俊幸や美術評論家の椹木野衣など、日本のアート・映画界を代表するプロたちからも「完璧な一枚の壁画のよう」「絵画の中に迷い込む感覚を味わうことができる」などと絶賛されている。

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画像テキスト
まさかの手書きでした…… - (C) Roy Andersson Filmproduktion AB

 本作はロケーションでの撮影がなく、全てのシーンをスタジオにセットを組んで撮影しており、背景までも手書きだ。スウェーデン国王カール12世がバーに登場するシーンでは、バーの外側に見える風景が実写ではなく、絵であることがメイキング映像では種明かしされている。CGが当たり前のように使われている現代の映画製作だが、アンダーソン監督の撮影現場では背景が手書きで描かれた板が、立体感を出すために重なり合うようにして立てられている。

 大がかりなシーンの撮影ではスタッフが30~40人いたこともあるが、常勤スタッフはわずか10人だったというアンダーソン監督の製作会社「Studio 24」で、本作の完成までに4年の歳月がかかったということからも、いかに監督が1シーンごとに時間をかけ、丁寧に作り込んできたかがわかる。場面写真を見ただけでも、遠近法を駆使して緻密に設計された構図はすばらしく、映画という枠におさまらない、芸術作品といえる作品に仕上がっている。

 そんな本作は、アンダーソン監督によるリビングトリロジー(人間についての3部作)の最終章となる不条理コメディー。面白グッズを売り歩くセールスマンのサムとヨナタンを軸に、何をやってもうまくいかない人たちの悲しくもおかしな人生が描かれる。(編集部・石神恵美子)

映画『さよなら、人類』は8月8日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

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