逝去後も人気衰えず！アレキサンダー・マックイーンの型破りコレクション伝説

　2010年に40歳という若さでこの世を去ったファッションデザイナー、アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリー作品がリリースされる。洋服という概念を超えて、ファッションがいかにアートとして成立するかに挑み続けた、マックイーンの初期作品から、彼の死後にパリで限定的に行われた伝説のファッションショーまでが、マックイーンのインタビューを交えて収録されている。

　型破りのファッションデザイナー・マックイーンは、イギリス・東ロンドンに生まれ、16歳で学校を中退。その後、ロンドンの一等地にオーダーメイドの名門紳士服店が集い、日本語で「背広」という言葉の語源になったことでも知られる小さな通り「サヴィル・ロウ」でテーラー見習いとして、ファッション界に身を投じる。

　その後、演劇衣装作りやイタリアでのアシスタント経験などを経て、一流のファッションデザイナーを多く輩出しているロンドンの芸術大学、セントラル・セント・マーチンズに進学。その卒業コレクションで、ファッション界の大御所であったスタイリスト兼ファッションエディターのイザベラ・ブロウに見いだされ、一躍注目の的に。ジバンシィのチーフデザイナーとしてキャリアを積み、ついに自身の名を冠したブランド「アレキサンダー・マックイーン」をスタートさせる。

　コレクションごとに斬新なテーマを掲げ、テーラー仕込みの熟練した技術で劇的な世界観を作り上げることに卓越していたマックイーン。アバンギャルドでありながらも、幻想的な上品さを残したデザインは観る者を魅了。ビョークやレディー・ガガも彼の作品のとりこだった。

　ロマンチック、パンク、ゴス、クラシック、近未来的といった要素を絶妙に折り合わせた彼の創造物が、現代ファッションに与えた影響は計り知れない。しかし、デザインの観点だけではなく、コレクションにおけるパフォーマンスも評価されている理由の一つだ。1999年春夏コレクションでは、回転盤の上で回り続ける一人のモデルの真っ白なドレスが、2台のロボットによって瞬く間に色付けされていく。2006年秋冬コレクションでは、ドラッグ使用で業界追放されていたスーパーモデルのケイト・モスが神秘的なドレスを身にまとい、ホログラムの立体映像として登場。彼のショーは、どれもファッション史で語り継がれるべきものばかりなのだ。

　2011年、ニューヨークのメトロポリタン美術館に続き、今現在ロンドンのV&A美術館で開催されているマックイーンの回顧展は、異例となる24時間の開館措置をとるほどまでに、大盛況を博している。（編集部・石神恵美子）

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