人気アメコミ「アーチー」シリーズ実在モデルを捜すドキュメンタリーとは?
アメリカの出版社アーチーコミックの人気作品「アーチー」シリーズを題材にしたドキュメンタリー映画『アーチーズ・ベティ(原題) / Archie's Betty』について、ジェラルド・ペリー監督が語った。
本作は、子供の頃に米人気コミック「アーチー」シリーズに惹(ひ)かれたペリー監督が、作画を手掛けたボブ・モンタナがモデルとした土地、マサチューセッツ州ハーバーヒルを訪れ、同漫画の実在のモデルとなった人々を捜しながら、ボブの過去もひもといていくというもの。「アーチー」シリーズは、アーチー・アンドリュースを主人公に、ベティ・クーパー、ヴェロニカ・ロッジなど、架空のティーンエイジャーを描いたもの。
今作を自費で製作したことについて、「Kickstarterなどせずに、教授の僕は2年間分の給料を費やして製作した(笑)。当初、ボブに関した書物を執筆する予定だった製作者ショーン・クランシーが、僕に助力を求めてきて協力することになったが、教授兼フリーランス・ジャーナリストでもある僕は、さまざまなことを調べていくうちに、子供の頃にファンだった気持ちがよみがえってきて、いつの間にか書物から映画製作に変わっていった。ただ当初は短編映画の予定だったが、3年半の製作を経て長編作になった」と明かした。
ペリー監督自ら出演したのは「撮影当初はできる限り自分が出演しないように撮影を進めたが、毎回ハーバーヒルの撮影映像を仲間に見せるたびに、なぜこれほど『アーチー』シリーズにこだわっているのか問われ続けた。この年で『アーチー』シリーズに関心を持つのは少々恥ずかしくもあったが、自分のシリーズに対する愛情を含めた方が正しい撮影だと判断して、出演することになった」と熱い思いを語った。
リサーチについて「もしリサーチしたものをジャーナリストとして記事にしていたら、おそらくボストン・グローブ紙のサンデーマガジンに載る4,000字くらいの内容になっていた。コミック『アーチー』の舞台であるリバーデイルが、実際にマサチューセッツ州ハーバーヒルがモデルであったことを証明するために、原作者ボブと当時同世代だったさまざまな人たちに会った。同シリーズのキャラ、ベティ・クーパーの実在のモデルとなった女性を捜していくうちに、よりリサーチにハマっていった」と語った。
映画は、米コミック文化を代表する「アーチー」シリーズのファンでなくても楽しめる作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)