ピクサーに必要なことは「いかに制限を設けるか」
映画『インサイド・ヘッド』でキャラクターから、セット、特殊効果、照明などさまざまな部門に関わるプロダクションデザイナーを務めているラルフ・エグルストンは、23年間ピクサーで働いて学んだことに「いかに制限を設けるかということ」があると語った。
ピクサーで作られている作品は、CGアニメーション作品。実写作品とは異なる、CGでのあらゆる表現が可能だ。また本作が5年以上かけて作られたように、ピクサーには制作期間にも厳しくないイメージもある。エグルストンは「何でもできる」と自信に満ちた表情を見せつつも、もちろん予算やスケジュールは存在すると説明し、制限の必要性について言及する。「どんなことでもできますが、作品の世界を信じられるものにし、世界の中に一貫したルールがあるものにしないといけません。もし自分たちが導入したルールを破り続けたりしたら、観客はそういうルールがあることを信じなくなります」。
また作品の世界観における制限を考慮した上で、「何がストーリーに必要なのか」というところを突き詰めていくと、映画に必要な予算やスケジュールなども見えてくるという。そして一つ一つのセットの重要性も決定していき、それぞれに掛けられる予算が決められていくのだそう。
エグルストンによると、「コンピューターの素晴らしい点は、何でもできることです。そしてコンピューターの悪い点は、何でもできること」だという。CG作品を扱うピクサーに勤めてきた彼だからこそ、その言葉の重みはひとしおだ。(編集部・井本早紀)
映画『インサイド・ヘッド』は全国公開中