昭和天皇役の本木雅弘、息子の映画感想に感服「苦悩が伝わった」
終戦から70年の終戦記念日を間近に控えた13日、俳優の本木雅弘が、新宿ピカデリーで行われた『日本のいちばん長い日』大ヒット御礼舞台あいさつに出席、同作を観た息子が語ったという、平和への思いを明かした。この日は役所広司、松坂桃李、原田眞人監督も来場した。
半藤一利のノンフィクションを基に、太平洋戦争を終わらせるために戦った男たちの姿を描いた本作。8日から全国公開され、公開5日間で早くも動員25万人、興行収入3億円を突破。8月15日の終戦記念日にはさらにスクリーンを追加しての拡大上映が決定している。
この日のチケットはあっという間に完売。満席となった客席を前に本木は、すでに息子が映画を観たと切り出し、「わたしが想像した以上に、全体を理解していて。子供の感想ですが、細かいところを抜きにして、なぜもっと早く終戦にこぎ着けなかったのかと。彼なりにジレンマを感じたらしい。戦争を知らない息子ながら、苦悩が伝わったようなのでよかったです」と笑顔。一方の役所は、「僕のところには、(映画評論家の故人)水野晴郎さんに似ているという声が(周囲から)届いて、ショックを受けたくらいですかね」と告白し、会場を沸かせた。
昭和天皇を真っ正面から描いたことでも話題の本作。本木は「ぜひ、皇室関係の方にもご覧になっていただき、おしかりを受けたいと思います」と語り、「皇室の方への試写会を催してください……。失礼なことをすみません」と頭を下げながら思いを付け加えた。
そして、最後に原田監督は、「この映画では今までの倍以上、取材を受けましたが、自分の発言を読み返してみて、僕の言葉が足りなかったばかりに、岡本喜八監督(の1967年版)をけなした感じになってしまった」と述懐。「この映画は岡本監督の作品からきています。そこが始まりなんですね。これを作るにあたって考えたのは、当時やりかったことを受け継ぎたかった、ということ」と明かすと、「この映画で昭和天皇が前に出てくることができました。しかし、われわれが作った段階でも、まだ天皇を囲んでいる状況まで描くことはできなかった。だから10年後、15年後に、もうひとつの『日本のいちばん長い日』が作られるはずです」と誇らしげな顔で語った。(取材・文:壬生智裕)
映画『日本のいちばん長い日』は全国公開中