ガイ・リッチーのスパイ映画『コードネーム U.N.C.L.E.』は英国的というより欧州的!
映画『シャーロック・ホームズ』シリーズのガイ・リッチー監督が、新作『コードネーム U.N.C.L.E.』について語った。
本作は、東西冷戦下の1960年代前半を舞台に、米CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とソ連KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が、核兵器拡散の陰謀を企てる国際犯罪組織を制圧するために手を組み、核兵器の大量生産を阻止しようと奮闘するさまを描く。
キャスティングについて「すぐに決断したわけではないんだ。『マン・オブ・スティール』でスーパーマンを演じたヘンリーが、オーディションに参加してくれた際は、ロシア人のイリヤを演じる予定だった。だが、オリジナルのテレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』のイリヤ役は金髪で、ヘンリーとは違う。さらに当初は、ナポレオンはトム・クルーズが演じるはずだったが、『ミッション:インポッシブル』シリーズ出演でそれがかなわなかった。そこで、ヘンリーをナポレオン役のボジションに収め、新たにアーミー・ハマーをイリヤとして雇った」と明かした。
60年代の衣装について「このような伝統的なスパイ映画のセクシーな男性(主人公)は、女性の衣装には全く関心がないのが常だ。でも実際のスーパーエージェントと呼ばれるような人物は、より広範囲の知識を持っているもので、女性の衣装でさえも、プロのエージェントとして知らなければならないはずだ。僕自身は、そんなエージェントを過去の映画で観たことがなかったので、今回、通常のスパイ映画と違った要素を持ったエージェントにしてみた」と語った。
英国スパイ映画と米国スパイ映画の比較について「今作は英国というよりはヨーロッパのスパイ映画で、米国とロシアのスパイを描き、ヨーロッパの雰囲気を観客に感じてもらえるように仕上げた。そんなヨーロッパの感覚が表面上では洗練されているように見え、それが米国のスパイ作品とは違うところだ。米国のスパイ映画には(主人公の)たくましさを感じるが、たくましさを持ち過ぎた主人公は、洗練された要素を失ってしまう。そこで僕らはたくましさを保ちながら、洗練された主人公を描いた」と説明した。
映画はイタリアの美しい風景を背景に、考え方の異なるナポレオンとイリヤが頭脳戦を繰り広げながら活動する設定が面白い。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro hosoki)