強大な権力を前に打ちのめされる主人公…『裁かれるは善人のみ』予告編公開
第72回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞や第67回カンヌ国際映画祭脚本賞に輝いた映画『裁かれるは善人のみ』の予告編が公開され、『父、帰る』などのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督ならではの美しい構図で切り取られたロシアの荒涼たる風景と、圧倒的な自然の前で人間が非力なように、強大な権力を前になすすべもなく打ちのめされていく主人公の姿が明らかになった。
ロシア北部の入り江のある小さな町を舞台にした本作。自動車修理工場を営むコーリャは若い妻リリア、そして息子ロマと住み慣れた家で暮らしているが、1年後に選挙を控えた市長のヴァディムが権力に物を言わせ、彼らの土地を買収しようと画策する。コーリャは強行策に抗うべく、友人で弁護士のディーマを頼って市長の悪事の一端をつかみ、明るみに出そうとするのだが……。
予告編で映し出されるのは、土地の買収に端を発し、人間関係が悲劇的に綻んでいくさま。アメリカで起こったマービン・ヒーメイヤー事件(ブルドーザーによる建築物破壊事件)という現実の事件と、「ヨブ記」「ミヒャエル・コールハースの運命」「リヴァイアサン」といった書物の数々にインスパイアされ生まれた本作は、ロシアを舞台としながらも、人、国家、神、そして悪についての普遍的で胸に迫る物語となっている。(編集部・市川遥)
映画『裁かれるは善人のみ』は10月31日より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開