『ムカデ人間』に出演した日本人俳優「ちょっとビビッた」撮影裏話
世界中でセンセーションを巻き起こした映画『ムカデ人間』の“ムカデ人間1号”として脚光を浴び、シリーズ最終章『ムカデ人間3』にも出演している、ハリウッドを拠点に活躍する日本人俳優・北村昭博が、同作の撮影の裏側やこの人気シリーズについて振り返った。
1作目のディーター・ラーザーと2作目のローレンス・R・ハーヴィーも出演する3作目だが、北村の出演決定は撮影直前だったという。「うわさは耳に入ってきていたんですが、なかなか声が掛からなくて、ちょっと腹を立てていたんです(笑)。すると、LAでのクランクイン1週間前にスカイプでトム・シックス監督から出演してくれって言われて。監督は自分を発見してくれた恩人ですし、トムの作品には全部出演したいと思っていたので、やった! って。本当にうれしかったですね」
刑務所が舞台の本作で囚人を演じた北村は、事前に自分が演じるキャラクターの“裏設定”を独自に考えて撮影に臨んだという。「自分の役は暴力的な犯罪者ではなく、異常性欲者じゃないけど性的な犯罪を犯し収監された囚人だと考えたんです」。そこで、人気ポルノ女優のブリー・オルソン演じるデイジーが陵辱されている場面を北村演じる囚人が塀越しに見ているシーンでは、当初脚本にあった「扉に駆け寄る」予定を変更して、北村の「興奮して欲情している」というアイデアが採用されたという。
また、本物の元囚人がなんと囚人役で出演しているという本作だが、北村によると「全員が囚人的な顔をしていないといけないので、みんな犯罪者顔で。エキストラも怖い顔をしている人ばかりだったので、誰が本物の囚人かわからないぐらいでした」と笑いながら述懐。「ロバート・ラサード(『デス・レース』『ウォーターワールド』)とかメインで入っているハリウッドの俳優たちも、ルックスがめちゃくちゃ怖くて。撮影中はちょっとビビッていました(笑)」と現場でのホラーな(?)エピソードも披露した。
その名を世界に知らしめるキャリアの転機となった『ムカデ人間』シリーズを振り返って、北村は「トム・シックスという本気でリスペクトできて、ヤバいと思える監督と出会えて、一緒に熱さを育みながら仕事できたのは本当に良かった。もっと上を見ている人ですし、自分もさらに上を目指そう、小さくまとまっている場合じゃねえぞ! という気持ちにさせてもらえた」という。「ファンやメディアも巻き込んで、どんどん大きくなっていったシリーズ。今後もさらに世界中のいろんな人とつながっていきたいですね」と意気込みを熱く語った。(取材・文:小林真里)
映画『ムカデ人間3』は8月22日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開