フランスで作家主義の映画を作る困難さ…要注目女性監督の新作『EDEN/エデン』主演俳優が語る
フランス映画『EDEN/エデン』で主演を務めたフェリックス・ドゥ・ジヴリがインタビューに応じ、フランス映画界で作家主義的な作品を製作することの難しさを語った。
本作のメガホンを取ったのは、『グッバイ・ファーストラブ』『あの夏の子供たち』などの新鋭ミア・ハンセン=ラヴ。今もっとも注目されるフランスの女性監督といわれるミアだが、本作の資金集めには1年半~2年ほど時間がかかっているという。
インタビュー中、来日の疲れが残っている様子のフェリックスだが、フランス映画界について話が及ぶと姿勢を正し、「フランスの映画製作というのはちょっと特殊なところがあります」と切り出す。「良いところも悪いところもありますが、公的な資金が入っているという特徴があります。有名な人が演じていればそれなりの収入があって良いわけですが、本当に作家主義の作品を追求して、小さめな作品や芸術的な作品を目指そうとすると難しい部分があります」としみじみ。
続けて、この作品が作家主義的な作品だと前置きした上で、「こういう小さな作品では、興行収入の結果がどうなるかわからない。なので、製作するのは本当に難しいです」とその苦労を振り返り、毎年フランス映画祭が開催され、フランソワ・オゾンやジャック・ドワイヨン、オリヴィエ・アサイヤスといった名監督たちの映画を鑑賞する機会に恵まれている日本からは想像もできないフランス映画界の実情を語った。
さらに、好きな映画について「ミアの作品やフランソワ・トリュフォー、ジャック・ドゥミとか」と何人かの監督の名前を挙げ、時代を描いている作品が好きだと答えたフェリックス。「ただやはり、どの作品もお客さんが入らないといけないので、観てくれる人がいるような作品、来てくれる作品にしないといけないなと思います。それは必ずしも収益という意味ではなく、反響という意味からです」。
1990年代のフランスを舞台にした『EDEN/エデン』は、エレクトロ・ミュージックが台頭する波に乗って親友とDJ活動を始めた大学生のポール(フェリックス)が、成功に酔いしれるうちに、狂った金銭感覚やドラッグ、恋愛の破綻を繰り返すようになり、次第に最先端のクラブシーンと乖離(かいり)していく夢と挫折を描いた青春映画。(編集部・吉田唯)
映画『EDEN/エデン』は9月5日より新宿シネマカリテ、大阪ステーションシティシネマほか全国順次公開