「マッドメン」の女優エリザベス・モスが明かす女の友情が壊れていく映画とは?
テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」の女優エリザベス・モスとアレックス・ロス・ペリー監督が、新作『クイーン・オブ・アース(原題) / Queen of Earth』について語った。
そのストーリーは、有名アーティストの父親を失い、恋人にも別れを告げられたキャサリン(エリザベス)が、気分転換のために湖畔に住む友人ヴァージニア(キャサリン・ウォーターストン)のもとを訪れるが、過去の思い出やヴァージニアの恋人を通して二人の関係がギクシャクし、キャサリンは徐々に精神が壊れていくというもの。映画『リッスン・アップ・フィリップ(原題) / Listen Up Philip』のアレックス・ロス・ペリーがメガホンを取った。
役柄へのアプローチについてエリザベスは「わたしが脚本を読む前に、アレックスは今作をどういったトーン、どんなアイデアで製作するのかを伝えてくれたの。その際に幾つかの映画を挙げ、その中の一つがロマン・ポランスキー監督の『反撥』だった。さらに彼は、シーンによってはロバート・アルトマンの作品を観せて、どういう枠組みで撮影するかも話してくれた」と監督が明確なビジョンを植え付けていたことを明かした。
キャサリンとの共演についてエリザベスは「彼女とはお互いに共通の友人がたくさんいるにもかかわらず、映画製作するまで一度も会ったことがなかった。彼女はクールで面白い女性で、撮影現場でもすごく仲良くすることができたの。撮影中はお互い真面目な顔をしていたけれど、現場ではときにクスクス笑うこともあるほど、心地よく撮影できたわ」と答えた。重たい空気感の漂う本編とは異なった現場だったようだ。
今作の予告編が1980年代~90年代に公開された映画の予告編をほうふつさせることについて、「今作は80年代~90年代の僕らが好きな作品を心から受け入れたものだ。僕はビデオストアで働いていたことがあり、編集者や撮影監督も同じビデオストアで働いていた友人だ。80年代のスリラー作品は、低レベルで無駄な作品と評する人もいるが、僕にはそれらはレベルの高いアート作品と変わらない価値があって、個人的にはそれらの映画の方がより楽しめるんだ」とアレックスが答えた通り、過去のスリラー作品へのオマージュが見受けられる。
映画は、キャサリンが精神に異常を来し、女の友情が壊れていくさまが興味深く描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)