ジョニー・デップ、作品ごとに「へんげ」する理由を明かす
第72回ベネチア国際映画祭
現地時間4日、第72回ベネチア国際映画祭でアウト・オブ・コンペティション部門に出品されているギャング映画『ブラック・スキャンダル』の記者会見が行われ、主演のジョニー・デップが出席。毎回特徴的なキャラクターを選んで出演している理由を明かした。
『ブラック・スキャンダル』は、実在のギャング、ジェイムズ・“ホワイティ”・バルジャーがいかにしてボストン史上最も危険な力を持つ犯罪者になっていったのかを描く伝記クライムドラマ。ジョニーは邪魔者を容赦なく殺す冷酷さと家族思いの一面を併せ持つホワイティの内面を見事に表現しているほか、ブルーの瞳や薄くなった毛髪など外見もかなり近づけており、ワールドプレミアとなったベネチアではジョニー史上ベストの演技と評する声も多い。
本作だけでなく『シザーハンズ』のシザーハンズから『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウまで、外見をも作り変えるカメレオン俳優ぶりで知られるジョニー。こうした「変化する(transform)」ことへのこだわりは、テレビドラマ「21ジャンプ・ストリート」(1987~1991)に出演したことでアイドル的な人気が出てしまい、俳優として行き詰ったことがきっかけで生まれたという。
ジョニーは「恩を仇で返そうっていうんじゃないんだ。いわば僕を有名にしてくれた作品だからね」と前置きしたうえで、「でもとてもフラストレーションがたまった。結局、1年という期間にわたって、自分のものじゃない言葉を言い続けるだけということに気づくわけだから」と本音をぽつり。
「僕のヒーローはジョン・バリモア、ロン・チェイニー、マーロン・ブランド、ティモシー・ケリー、ジョン・ガーフィールド。彼らは皆トランスフォームしていた。だから僕はただ取りつかれているんだと思う。周りの人たちは僕を広告塔にしようとしたけど、いつでもそれ以上のキャラクターアクターになろうとしてきた」と胸に抱えてきた思いを口にしたジョニー。「それは置いておいても、僕は、俳優は観客に毎回新しい何か、違う何かを与える責任があるんじゃないかって思うんだ」と俳優という仕事について熱く語っていた。(編集部・市川遥)
第72回ベネチア国際映画祭は現地時間12日まで開催
映画『ブラック・スキャンダル』は2016年1月30日より全国公開