エディ・レッドメインの中に女性を見た!トム・フーパー監督が性転換した画家役にエディを起用した理由
第72回ベネチア国際映画祭
現地時間5日、第72回ベネチア国際映画祭でコンペティション部門に出品されている映画『ザ・デイニッシュ・ガール(原題)/ The Danish Girl』の会見が行われ、メガホンを取ったトム・フーパー監督が、世界で初めて性転換手術を受けた一人とされる画家役にエディ・レッドメインを起用した理由を明かした。
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デヴィッド・エバーショフが、デンマーク人画家アイナー・ウェゲナー(女性名リリー・エルベ)とその妻グレタの半生を小説化した「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」を基にした本作。エディがフーパー監督からこの話をもらったのはタッグ2作目である『レ・ミゼラブル』(2012)の撮影中だったという。「僕は歌って、パリでバリケードを守る男を演じていた(笑)。そして休憩になったときに、トムが『今まで読んだ中で最高の脚本かもしれない』と本作の脚本が入った封筒をくれたんだ」(エディ)
エディが「ユニークで情熱的なラブストーリーに深く心を動かされた」と語る通り、本作ではアイナー(リリー)と、『アンナ・カレーニナ』のアリシア・ヴィカンダーふんする同じく画家のグレタの一風変わった愛の物語がつづられる。モデルとなる女性が休んだため、グレタがアイナーにストッキングを履いてモデルをしてほしいと頼み、それがきっかけで彼の中のリリーが目覚める。
20歳の頃のエディが主演した舞台「十二夜」(男性のみの舞台でエディはヴァイオラ役)を観ており、彼が女性を演じるとどうなるかを知っていたというフーパー監督は、エディの俳優としての確かな才能に触れた上で、「彼を隣にして言いにくいんだか、エディには女性的な何かがあると思うんだ。それを発掘するのは興味深いことだと思った」と直感で抜てきしたと説明。制作の初期段階から「どのようにエディが女性のまねを学ぶかというより、どのように彼の内なる女性が明らかになっていく印象を作るか」というアプローチを取ったと明かした。
リリーの日記とされるものや原作を読むことに加え、さまざまな世代のトランスジェンダーの人々に会ったというエディは「彼らはとても寛容で何でも答えてくれた。あるカップルは一人が男性に性転換した後も、一緒に居た。彼女は『本物の人生を生きるためにはどんなことでも、全てのことをする』『性転換中に思ったのは、自分のパートナーの共感する心はどれほど深いのだろうということ』と言っていて、この二つの言葉が、撮影中、僕の中にずっとあったことなんだ」と熱く役づくりの過程を振り返り、「ものすごくたくさんのことを学びました」と真っすぐな瞳で語っていた。(編集部・市川遥)
第72回ベネチア国際映画祭は現地時間12日まで開催