ファルコンとのバトルも追加!エドガー・ライト『アントマン』脚本にペイトン・リード監督が加えたもの
1.5センチの最小ヒーローを描くマーベル映画『アントマン』のペイトン・リード監督が電話インタビューに応じ、エドガー・ライト&ジョー・コーニッシュが執筆していたオリジナル脚本をどのように変更したのかを語った。
これが1.5センチ最小ヒーローの戦い方!『アントマン』本編映像
もともと『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』などのライトが監督を務める予定で進められていた本企画だが、マーベルとの創造上の見解の相違を理由に電撃降板。その後、『イエスマン “YES”は人生のパスワード』『チアーズ!』などで知られるリードのもとに長年の知り合いであるマーベル・スタジオの社長ケヴィン・ファイギから電話があり、『アントマン』がどのような映画になり得るかという点で同じアイデアを共有していたことから監督に決定。すぐに主人公スコット・ラング役のポール・ラッド、そして新たに雇われた脚本家のアダム・マッケイと共に脚本のリライトを始めたという。
「たくさんの本質的な変更をした」と語るリード監督は、「コミックでの初代ワスプ、ジャネット・ヴァン・ダインは注目せざるを得ないキャラクターだ。コミックではハンク・ピムとワスプは切っても切れないチームとして紹介されている。オリジナル脚本には彼女は全く出てこなかったから、どういうやり方になるかはわからなかったけど、彼女を登場させたいと思ったんだ。それはとても重要だった」と原作ファンならではの要素を追加。
また、マイケル・ダグラス演じるハンク・ピムは「彼はハワード・スターク、その息子のトニー・スターク(アイアンマン)、そしてアベンジャーズに深い不信感がある。かつて裏切られているんだ。彼らはピムのテクノロジーを盗もうとした。だから彼らが彼ら自身をヒーローと呼ぶことに疑問を抱いている」とより複雑で少しダークな人物に変えた。そのほか、極限まで小さくなることで到達する「量子の世界(Quantum Realm)」の概念や、アベンジャーズのメンバーであるファルコン(アンソニー・マッキー)とアントマンのバトルシーンを加え、よりマーベル・シネマティック・ユニバースになじむ形になったようだ。
しかし、作品自体はコメディーが得意なリード監督とポールがタッグを組んだだけあって、良質なコメディーを軸に家族ドラマ、アクションが展開し、マーベル作品になじみがない人でも1本の映画としてハマれることは請け合い。作品のカラーを決めたといってもいい、スコットの悪友ルイス(マイケル・ペーニャ)の話の筋がズレがちなコミカルな長話も、オリジナル版にはない要素だったという。
「作品のトーンについては常にバランスを取ってきた。シリアスになりすぎたり、感傷的になりすぎたりしたら、ジョークを投げ入れて穴を開けるんだ」と制作を振り返ったリード監督。大好きなコミック作品を実写化できてエキサイティングだったと声を弾ませる彼の作品愛と、卓越したコメディーセンスが見事に融合した快作となっている。(編集部・市川遥)
映画『アントマン』は9月19日より全国公開