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過剰な暴力、児童性的虐待…エマ・ワトソン、恋人ダニエル・ブリュールを救うため危険なカルト集団に潜入

第40回トロント国際映画祭

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オープニングの幸せな雰囲気が一転、ほとんどホラーに
オープニングの幸せな雰囲気が一転、ほとんどホラーに - Courtesy of TIFF

 エマ・ワトソンダニエル・ブリュール共演のスリラー映画『コロニア(原題) / Colonia』のワールドプレミアが現地時間13日、第40回トロント国際映画祭で行われ、『キエロ・セル(原題) / Quiero Ser』で第73回アカデミー賞短編実写賞に輝いたことでも知られるドイツ人監督フロリアン・ガレンベルガーをはじめ、ダニエル、ミカエル・ニクヴィストリチェンダ・ケアリーらキャスト陣が出席。史実を基にした同作について語った。エマは翌朝早朝に米ロサンゼルスでトム・ハンクスとの撮影(『ザ・サークル(原題) / The Circle』)が入っていたため、残念ながら欠席となった。

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 『コロニア(原題)』の舞台となるのは、元ナチス党員のパウル・シェーファーが牧師を名乗り、実際にチリに作り上げた農業集落コロニア・ディグニダ。男性、女性、そして子供は引き離されてバラバラのところに住み、絶対的な権力を握るシェーファーの下、悪魔祓いと称した過剰な暴力や児童性的虐待が日常的に行われていたカルト的な性格を持つコミューンだ。外界から閉ざされたその場所に入ると2度と外に出ることが許されないとされており、アウグスト・ピノチェトの軍事政権になってからは拷問施設として使われた。

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 エマが演じたのはルフトハンザドイツ航空のキャビンアテンダント・レナ。1973年、フライトの途中、チリのサンティアゴで恋人のダニエル(ダニエル・ブリュール)と再会して幸せな時間を過ごすも、サルバドール・アジェンデ大統領が倒され情勢が一気に不安定に。ピノチェトの軍事政権が実権を取ったためアジェンデを支持して活動していたダニエルは捕えられ、コロニア・ディグニダへ送られてしまう。誰の助けも借りられないことを悟ったレナは、信者のふりをして単身コロニアに乗り込むことになる……。

 ガレンベルガー監督は「9歳のときに学校でコロニア・ディグニダのことを習った。当時のドイツではすごいスキャンダルだったんだ。そこで起きていたことへ怒りを覚えた」と長年心にあった題材を映画化することを決意。「最初にコロニアに行ったのは5年半前。もちろんコミュニティーに入るのは難しかったが、最終的には何人か若いメンバー&元メンバーと信頼と友情を築くことができた」。そのうちの一人は撮影に付き合い、その雰囲気や特徴をつかむのを助けてくれたというだけあって、劇中コロニアの全貌が明らかになっていく過程には背筋が寒くなるものがある。

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 「チリ政府から何か圧力があったか?」との質問には、「いいえ。今回の経験では、チリはこの問題についてドイツよりもしっかり取り組んでいると感じた」と即答したガレンベルガー監督。「ドイツは何が起きたかを隠そうとしていて、ドイツでのコロニアに関するアーカイブは今でも機密扱い。チリでは全てがオープンだ。ドイツ大使館やドイツの外務省は触れないようにしている。本作ではそんなとてもダークな部分にも光を当てたいと思った」と真摯(しんし)に語っていた。

 本作において感情的に演じるのが最も難しかったのは、「ミカとのシーン全部」とシェーファー役のミカエルの方を見てちゃめっ気たっぷりに明かしたダニエル。ガレンベルガー監督は、コロニアを取り仕切る二人を演じたミカエルとリチェンダについて「あれは演技です。実際すごくいい人たちなんですよ!」と観客に笑顔で呼び掛けていた。(編集部・市川遥)

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