食人族に食われる…ワクチン打っても発病したイーライ・ロス『グリーン・インフェルノ』過酷な撮影
映画『ホステル』シリーズのイーライ・ロス監督が、話題作『グリーン・インフェルノ』(11月28日~日本公開)について主演女優ロレンツァ・イッツォと共に語った。
本作は、アマゾン奥地で過激な自然保護活動を展開する学生活動家グループが、飛行機のエンジントラブルで不時着したジャングルで、食人の習慣を持つ現地部族に食われるさまを描いたホラー作品。
撮影現場について、ロス監督は「これまで映画スタッフが足を踏み入れたことのないアマゾン奥地で撮影した。片道だけでも町から5時間以上かけて通うほどだった。訪れた奥地の先住民たちは、それまで電話やテレビさえも見たことがなく、当然映画もわかっていなかったため、まず、映画自体が何であるかを説明した。さらに撮影前に黄熱のワクチンを接種したが、撮影の初日は撮影現場のほとんどの人が病気になっていた」と明かした。
ロス監督と映画『アフターショック』で出会い、その後結婚したロレンツァは、撮影体験について「事前にとても危険なジャングルで撮影すると聞かされていたけれど、特に何も準備しないで今作に参加したわ。ただ、一度もアマゾンのジャングルを訪れたことがなかったから、この冒険には心が弾んだの。もっとも、その後どんなことになるのか全く理解していなかった。日によっては気温が40度を超えたり、虫に襲われたり、スコールが降ったりしてカメラなどを移動することも頻繁にあった。これまで出演した映画の中で最も過酷な撮影だったと思うわ」と振り返った。
今作の制作意図について、ロス監督は「観客が本当に危険だと感じるような映画を作りたかった。僕はイタリアの映画『人喰族』『食人族』などに影響を受けてきたけれど、これらの映画は、本当に狂った人が出演しているのではないかと思うくらいのものだった。だが、最近のスタジオ映画は安全牌(ぱい)な映画を作ってばかりだ。僕はこれらのイタリア映画のように、気の狂った人たちがジャングル奥地で先住民と遭遇したり、撮影現場で(ジャングルの中で草をかき分ける)マチェーテやカメラしか持たずに(危険な環境で)死にかけるくらいの体験をしたかった。後で振り返って、あのときは一体何を考えて撮影したのかと思うほどの映画を作りたかったんだ」と熱弁した。
映画は、世俗から外れた食人族の世界観を過酷な撮影を通して見事に映し出したイーライ・ロス渾身の一作だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)