『ライチ☆光クラブ』古川雄輝は悪役を楽しんでいた!監督語る
韓国で開催されている第20回釜山国際映画祭で10月2日(現地時間)、『ライチ☆光クラブ』のワールドプレミア上映が行われ、内藤瑛亮監督によるQ&Aが行われた。
本作は、劇団「東京グランギニョル」の舞台を基に、漫画家の古屋兎丸が描いた同名漫画が原作。少年たちの思春期における自我の芽生えを映画化した監督に、多くのファンから質問の手が上がった。
原作を映画化することについて質問された監督は、「自分が描きたいテーマのひとつは思春期の10代が抱える鬱屈(うっくつ)についてです。そのテーマが自分とリンクしている作品かどうかが大きいです」と答えた。
映画の中の「光クラブ」を牛耳るゼラ役を演じた古川雄輝の大ファンだという女性から、配役について聞かれると、「彼のファンには驚かれるだろうとは思っていました。ゼラという人間は何を考えているのか分からない設定で、欲望はあるが実際何を得たいのか分からないという人物。キャスティングは難航したのですが、古川さんをリハーサルで見たとき、彼だと確信しました。また、彼は今回のような悪役を演じるのは初めてなので、とても楽しかったそうです」と明かす。
同世代のキャラクターに個性を持たせるのは難しかったのではという質問には、「各キャラクターのバックボーンについて、役者本人が広げていけるように話しました。また、それぞれのキャラクターに合ったDVDを渡しました。ゼラには、ナチ党プロパガンダ映画として有名な『意志の勝利』という作品を観てもらいました」とのこと。
また、泣くシーンについては「(『ブラック・サンデー』などを手掛けた)ジョン・フランケンハイマーという監督が言うには、泣けと演出はしてはいけないそうなのです。僕が思うにそれは、涙を流すことで、感情をごまかしてしまうからではないかと。だからラストシーンは、カノンを演じた中条あやみさんには、「泣いちゃダメだよ」と演出しました」と撮影秘話を明かした。多くのファンを持つ原作の映画化とあって、Q&A終了後も監督のまわりには人が集まる熱気あるワールドプレミア上映となった。(取材・文:芳井塔子)
映画『ライチ☆光クラブ』は2016年に正月第2弾として新宿バルト9ほか全国公開