もし第2次大戦の勝敗が逆転していたら…?フィリップ・K・ディック「高い城の男」ドラマ化
フィリップ・K・ディックの小説「高い城の男」のドラマ化作品「ザ・マン・イン・ザ・ハイ・キャッスル(原題) / The Man in The High Castle」について、主演女優アレクサ・ダヴァロスが語った。
本作は、第2次世界大戦が枢軸国の勝利で終わった15年後、ドイツと日本に分割統治されたアメリカ合衆国を舞台に描いた歴史改変SF作品。アマゾン・スタジオのもとテレビシリーズ「X-ファイル」のフランク・スポトニッツ、映画『ブレードランナー』のリドリー・スコットが製作総指揮を務め、アレクサは主人公ジュリアナを演じている。また、日本人女優TAOがベティという名の美しい日本人女性役で出演している。
フィリップ・K・ディック原作の興味深い設定について「個人的に『もし何かが起きていたら』というコンセプトが好き。実際にわたしたちの人生でも、ある人に出会わなければとか、あの日あの出来事が起きていなかったらとか考えたことがあると思うし、現代人として生きるうえで、そういう質問を自分にしたことがあると思う。そんな想像の扉を開いて、想像を爆発させた極限状態がまさに今作で、『もし何かが起きていたら』という未知の世界観が、徐々にひもとかれていくのが興味深いの」と見どころを語った。
ジュリアナ役について「まず、わたしは実際の第2次世界大戦と戦後の歴史を最初に学んだの。さらにフィリップ・K・ディックの原作だけでなく、彼の作品群を多く読んで、彼の価値観や概念みたいなものを感じ取ろうとした。ただ実際のジュリアナの性格は、明確に原作に記されていたから、そんな彼女の世界観に入り込むことは、わりと簡単にできたわ」と振り返った。
日本支配下のアメリカという設定で演じるうえで、学んだ日本文化については「まず合気道の本を読んだときに、それを通してあらゆる武術を知ったわ。さらに合気道の身体的に優雅な動きは、わたしたち欧米諸国の格闘技とは異なったものであることが理解できた。そんな動きが理由で、製作総指揮/脚本のフランクは柔道よりも合気道に比重を置いて今作を描いたの。合気道には瞑想(心を静めて無心になること)的な要素があるわ」と語った通り、ドラマの中には日本の文化が含まれているのも魅力の一つだ。
今年の11月20日より、アマゾンプライムにて10エピソードが配信される。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)