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父親による性的虐待との闘い、カメラの前に歩み出た少女の告白

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左から滝田洋二郎監督、アオリ監督、松島哲也監督
左から滝田洋二郎監督、アオリ監督、松島哲也監督

 「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」で14日、日本映画監督協会賞(理事長・崔洋一)が発表され、父親の性的虐待を訴えた少女に寄り添った韓国映画『私の非情な家』のアオリ監督が受賞した。アオリ監督には金のバトン型トロフィーと賞金30万円が贈られた。

 同作は、性的虐待をテーマに映画製作を企画していたアオリ監督のもとへ「カメラの前で話してもいい」と名乗り出てきた少女「イルカ」に密着したもの。告白は衝撃的だ。ある日、父親の過剰な愛情が性的虐待であると認識し、母親に事実を訴えるも信じてもらえなかった彼女は学校を中退し、支援団体に駆け込んだ。家族と離れて暮らす決意をした「イルカ」だが、残された妹を守るため、そして自分自身を取り戻すために自身の父親と法廷で争う。

 日本映画監督協会賞は、「アジア千波万波」部門参加作品を対象に、次作が期待され、熱意あふれる監督に贈られるもの。『おくりびと』『天地明察』などで知られる審査委員長の滝田洋二郎監督は「カメラの前で父を訴えた少女の内面を力強く、的確に捉えていた。自分の映画が他人の人生に介入し、かつ監督自身の人生も変わっていく。その姿に感動した」と称賛した。アオリ監督も、感謝の言葉を述べると共に「韓国から性的虐待がなくなることを、どうか皆さん祈って下さい」と訴えた。

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 同作品は、韓国の大手映画会社CJエンタテインメントなどが製作を支援しているが、劇場公開に関してアオリ監督は「少女の家族に影響が及ぶことを考慮し、(人権団体などの)コミュニティーや海外映画祭などに限定する形になると思う」と複雑な表情を見せた。

 もっとも今回受賞をしたことで国内外での関心が高まることは間違いなく、家庭内での性的虐待を公表することの難しさを改めて考えさせられる結果となった。(取材・文:中山治美)

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