小栗旬、正義のヒーロー役も情けない男心に共感
『ギャラクシー街道』インタビュー
24日公開の『ギャラクシー街道』で三谷幸喜監督の映画に初参加した俳優の小栗旬が、「胃の奥がキューッとなった」という、劇中で描かれる情けない男心を語った。
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小栗が演じるのは、宇宙の平和を愛する正義の味方キャプテンソックスであることを隠している、スペース警備隊勤務のハトヤ隊員。三谷監督は「正義のヒーローなので、立ち姿が画になる俳優を」という理由で小栗にこの役をオファーしたという。ところが作品中でハトヤ隊員は、立ち姿よりも別の印象を強く残すことに。おそらくこの作品を観た人の記憶に残るハトヤ隊員の姿は、彼が恋人のマンモ隊員(秋元才加)との別れ話で見せる狼狽ぶりだろう。
「ハトヤとマンモ、そして上司のトチヤマ隊長(阿南健治)の関係はシュールで面白いですよね。でも、実際にこういうこと、あるんじゃないかなあと思います」と語る小栗。ハトヤは世を忍ぶ仮の姿を終え、故郷の星に帰ってキャプテンソックスの活動に専念するために、同僚の恋人マンモ隊員に別れを切り出す決意をする。しかし、マンモから先んじて思いがけない事実を告げられる。「ハトヤの気持ち、わかります。自分が別れを告げたらショックを受けて泣き崩れるのを期待していたのに、反応が全然違った。ハトヤの気持ちを想像して胃の奥がキューッとなりました」。
ハトヤとマンモの関係に限らず、本作に登場するキャラクターは全体的に女が現実的で、男は夢見がちで過去の恋愛を引きずりがちだ。小栗は「男は過去の恋愛を美化して、昔の恋人をいつまでもどこかで自分のもののように引きずりますよね。それはハトヤだけでなく、現実の身近にいる人たちを見てもそう思う。男のそういう部分は一生変わらないんだろうなと思います」と考察する。
「僕らが昔から観てきた、ユーモラスでナンセンスな三谷映画の世界観に入ることができてとても楽しかったです」と現場を振り返る小栗。そして、三谷監督が手掛ける舞台への出演にも意欲を見せるが、「その前に、『どの役がいい?』と聞いてくださった『真田丸』(三谷脚本の平成28年度大河ドラマ)のオファーをお待ちしています」と笑う。本作が、小栗旬と三谷幸喜の“コラボレーション街道”の始発駅になりそうだ。(取材・文:須永貴子)
映画『ギャラクシー街道』は10月24日より全国公開