『オデッセイ』の白人化を人権団体が批判
マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン主演の映画『オデッセイ』が原作と異なり、白人化されて映像化されたことをアジア系アメリカ人の地位向上と正しい理解を促進する団体「Media Action Network for Asian-American(MANAA)」が批判している。
アンディ・ウィアー原作のベストセラー小説「火星の人」では、アジア系として描かれていた2名のキャラクターが映画では黒人と白人に変えられたとMANAAは公開書簡で指摘している。
原作では東南アジア系として描かれているヴェンカット・カプーア博士は映画で名前をヴィンセント・カプーアに変更され、黒人のキウェテル・イジョフォーが演じている。また、韓国系アメリカ人のミンディ・パークは名前はそのままで、白人のマッケンジー・デイヴィスがキャスティングされている。キウェテルは黒人だが、MANAAが言う“白人化”はアジア系を別人種に置き換えることを言っている。
「この映画は、しっかりとした内容のある役に才能あるアジア系アメリカ人の俳優を起用し、彼らのキャリアを高める最高の機会でした」とMANAAの共同設立者ガイ・アオキ氏は言い、原作通りにキャスティングされていれば、アジア系アメリカ人の可能性がさらに高まったはずだったとコメントしている。
彼によると、オスカーの呼び声も高い作品だが、キャスティングで賞を得る権利はないとのこと。「監督はアジア系アメリカ人を起用しすぎると映画会社から文句をつけられると心配したのか。それとも、観客にとって魅力的ではないと思ったのか。本がベストセラーになることの妨げにはならなかったのに」とも言っている。
同団体は2014年の映画『エクソダス:神と王』でも、本作のリドリー・スコット監督がエジプトの王子モーゼとラムセスを白人に演じさせたことを当時、批判していた。(澤田理沙)