アンドロイド女優、「世界初」の最優秀女優賞に向けて自らアピール!
第28回東京国際映画祭
第28回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されている映画『さようなら』の舞台あいさつが24日、都内・六本木ヒルズで行われ、本作の核を担うアンドロイド・レオナを“演じた” 本物のアンドロイド、ジェミノイドFが登壇。映画初出演ながら手応えを感じた(?)というジェミノイドは、「映画もすばらしかったのですが、わたしの演技も思いのほか良かったので、最優秀女優賞をいただけるのではないかと思っています」と自信のコメント。さらに「わたしが受賞すると世界初となるので、東京国際映画祭さんとしても話題になっていいのでは?」と猛プッシュした。
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本作は、劇作家・平田オリザとロボット研究の第一人者・石黒浩が進める、人間とアンドロイドによる同名演劇プロジェクトを映画化したもの。放射能に侵された近未来の日本で、国民が次々と国外へ避難していく中、取り残された外国人難民・ターニャ(ブライアリー・ロング)と、彼女を幼いころからサポートしているアンドロイド・レオナの暮らしを描く。
この日は、ヒロイン役のブライアリー、共演の村上虹郎、深田晃司監督、そしてアンドロイドアドバイザーとして石黒も出席。「平田さんと出会い、アンドロイドを舞台で使うようになった」と語る石黒は、「人間味を出すために、演劇を通してわれわれもいろいろ学んできた」と述懐。「今回はついに映画進出ですが、ハリウッド映画のようにCGではなく本物のアンドロイドが演技しているので、これも映画界の大きな一歩」と胸を張った。
また、主演を務めたブライアリーは、「以前、深田監督の『歓待』(2010)で賞(第23回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞)を頂いていて、わたしはこの映画祭に育ててもらったようなもの」と感無量の様子。また、「ジェミノイドは華がある大先輩。わたしは2010年から舞台で共演させてもらっているので、石黒先生にもありがとうと言いたい」と流暢な日本語で感謝の気持ちを述べた。
一方、本作で唯一テンションの高い若者・山下を演じた村上は、「先程、ジェミノイドの手を触らせてもらったんですが、(感触が)やばいですね」と驚き顔。「僕の役は、希望を無くした中で太陽のような存在なんですが、ある国の名前を何度も叫んで騒ぐシーン、あれは楽しかった。今まで観たこともない映画なので、ぜひ楽しんで」と笑顔でアピールしていた。(取材:坂田正樹)
映画『さようなら』は11月21日より新宿武蔵野館ほか全国公開
第28回東京国際映画祭は10月22日~31日に六本木ヒルズ、新宿バルト9、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ新宿ほかにて開催