内野聖陽、ヒット祈願も「邪気がありまくり」と苦笑
俳優の内野聖陽が5日、都内で行われた日本・トルコ合作映画『海難1890』初日舞台あいさつに出席。本作は日本人とトルコ人の真心を描いた作品だが、内野はヒット祈願で舞台に立っている自身のことを「邪気がありまくりですね。すみません」と苦笑し、会場を沸かせた。
本作は、125年前に和歌山県串本町樫野崎沖で遭難したトルコ軍艦の乗組員を日本人が救助したエルトゥールル号海難事故と、その95年後に戦禍のテヘランに取り残された日本人たちをトルコ機が救出したイラン・テヘラン在留邦人救出劇という、二つの史実を題材とした作品。
共演のトルコ人俳優ケナン・エジェ、忽那汐里、夏川結衣、田中光敏監督と共に盛大な拍手に迎えられて登壇した内野は、「9月16日の事件を扱っているんですけど、日本パートの撮影をしたのは12月という非常に寒い時期」と振り返り、「あの苦労が(あって)、やっとここに立てたかという気持ちでいっぱいです」と感無量の面持ち。構想から10年もの年月がかかったということで、「田中光敏監督の超力作映画に参加できて光栄ですし、この映画が次の世代に残り、日本とトルコの友好がこの事件から始まったということを多くの人に知っていただければと思います」と願いを語った。
エルトゥールル号の乗組員の治療に奔走する田村医師を演じた内野は、「主役で立っていますけど、実際は漁師さんや島の方々の心こそが主役と思っています」という胸中を明かしつつも、「(漁師役の大東駿介らが)海に飛び込んで(トルコ人を)助けるという非常に危険で過酷なシーンをやるにあたって、頑張って来いよみたいなメールを送ったり、みんなの覇気が上がるように気遣ったりしました」と座長としての務めを立派に果たしたことを遠慮がちながら報告した。
ストーリーはもちろん、スタッフ・キャストの真心によって作り上げられた本作にちなみ、「真心とは何か?」と質問された内野は、「それをすることによって見返りを求めない、邪気のない純粋な気持ち」と答えるも、「でも、ここにはヒット祈願でいたりする」と自虐。最後は「邪気がありまくりですね。すみません」と頭をかいて、観客を笑わせた。この日は、それぞれが本作に込めた思いを漢字一文字で表して発表したほか、その思いを紙飛行機に乗せて客席に向かって飛ばした。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『海難1890』は全国公開中