シャーロット・ランプリング、長い女優人生で異例の出来事 ベルリン映画祭女優賞受賞作を語る
女優のシャーロット・ランプリングが、今年のベルリン国際映画祭で女優賞を受賞した話題作『45 イヤーズ(原題) / 45 Years』について、アンドリュー・ヘイ監督と共に語った。
【写真】シャーロット・ランプリング主演『スイミング・プール』
同作は、結婚45周年の記念日を1週間後に控え、妻ケイト(シャーロット)はその準備を進めていたが、ある日夫ジェフ(トム・コートネイ)のもとに届いた一通の手紙から、ジェフの初恋相手の遺体が発見されたことが判明し、夫婦関係に波紋が広がるというドラマ。デヴィッド・コンスタンティンの短編を、映画『ウィークエンド(原題) / Weekend』のアンドリュー・ヘイが映画化した。
制作経緯について、アンドリューは「前作『ウィークエンド(原題)』の編集段階時にデヴィッドの原作に出会った。それはわずか15ページの短編だったが、過去にとりつかれ、それが現在にも影響を及ぼしているという内容が、脳裏に焼き付いた。『ウィークエンド(原題)』では、人間関係の始まりからその経過をつづったが、今作では、過去を振り返ることから巻き起こる人間関係を描き、両作が良い比較対象作品となった。この2作とも、相手のアイデンティティーをいかに理解するかを描き、それが人生においてどれほど重要かも語っている」と、両作品に共通点を見いだしていることを語った。
出演経緯について、シャーロットは「渡された脚本は、まさにわたしのために執筆されたようで、誰にも説得されずに引き受けた。個人的にも、自分が女優としてこれから進みたい道に向かわせてくれるものだった。こういうケースはまれで、わたしの長い女優人生の中でも異例だった」と本能的に自分に適した役だと受け入れたことが、ベルリン国際映画祭の女優賞という結果を導いたようだ。
影響を受けた作品について、アンドリューは「今作を描くうえで、イングマール・ベルイマン作品を念頭に置かないことはあり得ない。もちろん、彼の作品と比べれば、多少ハッピーで明るいが、今作では衝撃的なことも起きている。ただ、ベルイマン作品と同様のレベルでは全くない。実は、今作はスウェーデンのイングマール・ベルイマン映画祭でも上映され、わずか12席の彼のプライベートシアターでも上映されたのには感激した」と語るとおり、映画内ではベルイマン作品をほうふつさせるシーンがうかがえる。
映画は、一通の手紙によって、45年も連れ添った夫婦の淡々とした日常生活にさまざまな感情が引き起こされる設定が面白い。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)