「スター・トレック」ジョージ・タケイ、日系アメリカ人強制収容所時代の実体験をミュージカル化
テレビシリーズ「スター・トレック/宇宙大作戦」でおなじみのジョージ・タケイが、新作ブロードウェイミュージカル「アレジアンス(原題) / Allegiance」について語った。
本作は、第2次世界大戦を戦った日系アメリカ人の退役軍人サム・キムラ(ジョージ)が、真珠湾攻撃60周年を記念して、ある日ジャーナリストのインタビューを受けることになり、戦時中、日本人の血を引く家族への愛と、愛着のある米国に対する忠誠心との狭間で葛藤したさまを振り返るというもの。第2次世界大戦中、日系アメリカ人として強制収容所で過ごしたジョージ自身の実体験を基にしたミュージカル。
ミュージカル作品を手掛けたことについて「強制収容所での日系アメリカ人のストーリーを世間に伝えることは、20歳のときから長い間僕の使命だった。あの当時の状況を現在に伝えるために、全米日系人博物館の建設にも携わった。過去には自叙伝を執筆し、それを基にこの強制収容所のドラマ化を計画していた。だが、ブロードウェイのプロデューサー、ジェイ・クオと出会ったことで、彼から『控えめな日本人ならば、ミュージカルによって自分の気持ちを外に出すことができる』と勧められた」と、ミュージカルという発想がここから生まれたことを明かした。
強制収容所時代の実体験について「僕が5歳のときにアメリカ人兵士が自宅にやってきて、まず僕の家族はサンタ・アニタ・パークの競馬場に連れていかれた。当時は、まだ強制収容所ができていなくて、そこに強制的に住むように命令された。僕ら日系アメリカ人は、真珠湾攻撃をした日本人と似ていることや、集団ヒステリー、人種差別、さらに政治のリーダーの欠落によって、そのような強制収容所に追いやられる結果となった」と当時を振り返った。
実際の強制収容所について「僕ら家族は、その後、競馬場からアーカンソー州ローワーに連れていかれた。アメリカには、その当時、日系アメリカ人を収容する強制収容所が10か所あった。このミュージカルでは、ワイオミング州のハート・マウンテンが舞台になっていて、そこは人里離れた、ほこりだらけの場所で、冬はものすごく寒くて、夏は焼けるような暑さだった。このワイオミング州以外にも、コロラド州、アイダホ州、ユタ州、アリゾナ州、テキサス州、そしてカリフォルニア州にも強制収容所があった」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)