カート・コバーンの遺書には不可解な点ばかり…専門家が分析
アメリカの人気バンド・ニルヴァーナのボーカルであり、1994年に突然の死を遂げたカート・コバーン。彼の死が自殺と断定された背景には遺書の存在があったが、その遺書には不可解な点が多いと主張する専門家たちの映像が、カートの死に迫った新作『ソークト・イン・ブリーチ~カート・コバーン 死の疑惑~』から公開された。
1994年4月8日、カートはショットガンによる頭部被弾で死体となって発見され、地元シアトル警察はその死を自殺と断定した。しかし、その事件の数日前、彼の妻であるコートニー・ラヴに雇われていた私立探偵トム・グラントは、その結論に疑問を抱き、約20年にわたり独自の捜査を行った。本作は当時の捜査資料や関係者へのインタビュー、証拠音声、再現ドラマを通して、カートの死の謎に迫っている。
この度、公開された本編映像の一部では、カートの死を自殺とするに至った証拠の遺書について、専門家たちがそれぞれ意見を述べている。元シアトル警察署の署長、ノーム・スタンパー氏は、「素人目に見ても筆跡に違和感があった。下のほうの文字は違って見える」と率直な感想を語る。文書鑑定人のハイディ・ハラルソン氏も、「最後の数行に関しては、誰かが彼の筆跡をマネした可能性もある」と第三者による偽装の可能性を示唆。
さらに興味深いのは、法言語学者であるキャロル・チャスキ氏の発言。彼女は、「最初の文章から大部分の内容は音楽について書かれているわ。でも最後の4行だけは、家族について書かれている」という内容の不自然さを指摘した上で、「愛している。俺がいないほうが幸せだ」というカートの遺書の一文に注目。この文章は誰が読んでも遺書だと思う典型的な内容になっていると主張。三人の意見に食い違いはなく、カートの遺書は何者かによって書かれたということがほのめかされる映像だ。
死後20年経っても、未だ謎に包まれたカートの死。果たして、世界中で物議をかもしている“コートニーの関与”説は真実なのだろうか? 本作はどのような結論に達するのか興味深い一作だ。(編集部・石神恵美子)
映画『ソークト・イン・ブリーチ~カート・コバーン 死の疑惑~』は12月12日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開