是枝裕和監督最新作！阿部寛×樹木希林×真木よう子×リリー・フランキーら

　是枝裕和監督のオリジナル脚本による最新作『海よりもまだ深く』が2016年5月に公開されることが決定し、阿部寛、真木よう子、リリー・フランキー、樹木希林ら豪華キャストの出演が明らかになった。

　『海街diary』で4姉妹の心の交流を鎌倉の四季とともに瑞々しく描いた是枝監督の次なる作品は、いくつになっても大人になりきれない男と、そんな息子を深い愛で包み込む母の姿を映し出す。夢見た未来と少し違う今を生きる家族の物語は、是枝監督らしい心に沁みる感動作になっている。

　是枝監督と『歩いても 歩いても』『奇跡』以来、3度目のタッグとなる阿部が演じるのは、小説家を目指すも一向に才能が開花せず、生活費のために探偵事務所に勤める男・良太。バツイチでギャンブル好き、夢ばかり追いかけ続けるダメ中年だが、なんとも愛おしく憎めないキャラクターだという。

　そして母親役を務めるのは樹木。是枝監督と樹木について主演の阿部は、「是枝監督が樹木さんにしか言えないセリフを書き、それを『バチーン！』と演じられる樹木さんがいる」と評しており、阿部の身長に掛け「大器晩成…って時間かかり過ぎですよ」と言ったり、「ミカンの木、花も実もつかないんだけど、あんただと思って毎日水やってんのよ」とぼやいたりと、是枝組の常連は、この作品にもクスリとした笑いの要素を加えているようだ。

　オリジナル脚本の本作について是枝監督は、「脚本の最初の1ページ目に書いたのは『みんながなりたかった大人になれるわけじゃない』という1行でした」と述べており、本作は「どうしようもない現実を抱えながらも、夢を諦めることも出来ず、だからこそ幸せを手にできないでいる、そんな等身大の人々の今に寄り添ったお話」だと語った。今作では実際に是枝監督が9歳から28歳までの19年間住んでいた東京都清瀬市の旭が丘団地が撮影で使用されたといい、「集大成とか、代表作といった言葉がふさわしいわけではないのですが、自分の今を一番色濃く反映出来た作品であることは間違いないです」とこの作品にかける思いを明かしている。

　「“いつまでも夢を追いかけている人間”の甘えを演じることで、今までにない、面白い人間味を出せた」という阿部のほかに、良太（阿部）の別れた元妻役に真木、探偵業務の相棒役に池松壮亮、探偵事務所社長役にリリー、阿部の姉役に小林聡美、樹木の憧れのクラシックの先生役に橋爪功など、日本を代表する俳優が多数出演している。（編集部・海江田宗）

映画『海よりもまだ深く』は2016年5月21日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国公開