新『スター・ウォーズ』製作のカギを握ったテーマとは…脚本家が執筆の日々を振り返る
『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』(1983)の脚本家としても知られるローレンス・カスダンが、シリーズに復帰した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(全国公開中)で、J・J・エイブラムス監督と取り組んだ脚本執筆の思い出や、本作のカギを握るテーマを語った。
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ジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めたスティーヴン・スピルバーグ監督作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)の脚本執筆をきっかけに、『帝国の逆襲』を手掛けたカスダン。痛快なSF活劇の世界に深みある人間ドラマをたくみに盛り込み、シリーズが伝説となるうえで大きな役割を果たした。
そんな彼がシリーズに復帰したのが今回の『フォースの覚醒』。監督はルーカスからエイブラムスにバトンタッチしたが、製作陣が考えた本作のカギとなるテーマは、「どのようにしてオリジナル3部作と似たものにするべきか。また、どのようにして違うものにするか」だったという。
その答えの一つは、「CGI主導ではなく、肌で感じられるものに立ち帰るべき」ということ。「1作目から『ジェダイの復讐』には一貫して、実際にどこかのセットで撮影したものだと肌で感じられるような感覚が備わっています。今回、わたしたちの誰もが、あの感覚に立ち帰りたいと思っていました。みんな、オリジナル3部作に続いた3本の映画は、あの感覚から逸れてしまったと感じていたのです」と語るカスダン。ハリソン・フォードをはじめとするオリジナルキャストの復帰も、その感覚を取り戻すうえで大きな役割を果たしており、「人々の愛するあのキャラクターたちに立ち帰れたことは素晴らしいですね。レイアとハンは脚本を書いていて楽しいキャラクターですし」と証言する。
その脚本執筆でエイブラムス監督とカスダンがとったスタイルが、ロサンゼルスやニューヨーク、パリ、ロンドンといった街を「二人だけで、歩き回り、話し、座り、書く」ことだった。「話し合い、それを録音し、そのうえで、どこかへ行ってそれを書いていました。ストーリー構築という非常に難しい作業でしたが、それをする環境は、普通の執筆よりものすごく楽しいものでした」。
そしてカスダンは、本作の観客にも「ああ楽しかった、可笑しかった、興奮した、あの映像を見ていると身体が勝手に反応した」と言ってほしいと願う。「偉大な映画とは、そして、心の琴線に触れるものとは、何でもそういうものです。オーケストラでも、ロックコンサートでも、会場でそれを聞いていると、どういうわけだか自分の中にある何かにそれが触れ、自分ではコントロールがきかなくなる。それは道理も評論も先入観も失望も超越したもの。ある一定の時間、夢中になっている自分、有頂天になっている自分、楽しんでいる自分を感じられる。観客がそれを感じてくれたとしたら、それがわたしたちの成功を意味します」と満足そうに語った。(編集部・入倉功一)