『百円の恋』に続け!「第2回松田優作賞」最終ノミネート5作品決定
『百円の恋』を輩出した脚本賞「第2回松田優作賞」最終選考対象の5作品が24日、故・松田優作さんの出身地である山口県周南市のシネマ・ヌーヴェルで行われた「第7回周南『絆』映画祭」クロージングセレモニーで発表された。
「映画は脚本が大事」と語り続けた、山口県出身である優作さんの魂と志を受け継ぐ脚本を発掘するために、2012年に創設された同賞。前回は脚本家・足立紳の「百円の恋」がグランプリに選ばれ2014年に安藤サクラ主演で映画化。同作はその後、国内外の映画祭で数多くの賞を獲得し、本年度の第39回日本アカデミー賞では優秀賞5部門を獲得するなど、高い評価を受けた。
全国的な寒波に見舞われ、時おり雪もちらついていたこの日は、発表に先駆けて映画『お盆の弟』の上映も行われ、同作と『百円の恋』の脚本を手掛けた足立も来場。大橋広宣実行委員長の口から、日本アカデミー賞の件が告げられると、会場は大きな拍手で足立を祝福。「選ばれた時は、うれしさを通り越して助かったという気持ちでいっぱいでした。ほとんど脚本家をやめようという状態だったので」と語った足立は、「ただ、『百円の恋』を書いた時にはすでに『お盆の弟』もできあがっていて。実は松田優作賞に応募するのはどちらでもいいやと思っていたんです」と明かして会場を驚かせた。
今回の映画祭には『百円の恋』プロデューサーの佐藤現も来場。「僕も優作さんの映画が大好きでこの世界に入ってきたので、優作さんの名前は大きかった」と述懐した佐藤は、「オリジナル脚本を映画化するのはハードルが高いんです。でもそんなときに武器になったのが、松田優作賞グランプリという冠。そこから何とかやらせてもらったという感じです」とコメント。「おそらく日本アカデミー賞史上、1番の低予算映画だと思う。何とか最優秀賞をとりたいですね」と決意を語った。
2回目となった松田優作賞の応募総数は72本。『百円の恋』を輩出した脚本賞ということで、ハイレベルな脚本が集まり、中には台湾からの応募もあったという。厳正な審査のうえ、最終選考で5本の作品を選出。2月上旬に行われる最終選考を経てグランプリが決定する。(取材・文:壬生智裕)
第2回松田優作賞最終選考対象作品
「星屑みたいだ」(上村奈帆)
「春の約束」(河村みはる)
「黒いチューリップと桃」(げこげこ大王二十八世)
「琉球の翼」(備瀬友広)
「トカレフクラブ」(山田明)