社会的作品を上映する映画祭がニューヨークで3月開催
今年で第3回目を迎える Socially Relevant Film Festival について、ディレクターのノラ・アルマーニと広報担当のキアラ・スパグノリが語った。
同映画祭は、3月14日~20日までニューヨークの映画館ボー・タイ・シネマズ・チェルシーで開催され、33か国から選考された長編・短編作108作品が出品される予定だ。選考された映画の中には、アメリカの環境運動家エリン・ブロコビッチ氏、医学博士ディーパック・チョプラ氏、女優オリンピア・デュカキス、女優サリー・フィールドなどが出演している作品も含まれている。
オープニングナイト作品には、未成年の少女の人身売買を描いたリサ・アーノルド監督、ケヴィン・ソーボ主演の映画『ケイジド・ノー・モア(原題) / Caged No More』が上映される。クロージングナイトの授賞式はニューヨークの Tenri Cultural Institute(天理文化協会)で開催され、日本を舞台にした2作品、ロス・J・リード監督の長編作『タマシイ(原題) / Tamashii』とジャスティン・アムブローシ監督の短編『ハングリ・フォー・ラブ(原題) / Hungry For Love』も上映されることになっている。
同映画祭を始めたきっかけについて、ノラは「きっかけは二つあって、一つはスクリーンでバイオレンスを描いた映画を鑑賞することや、近年、映画のポスターでさえ銃、爆発、血が流れているようなものがたくさんあることに飽き飽きしていたの。もう一つは、わたしのいとこと叔父がカイロで宗教上の憎悪犯罪で惨殺されてから10年たったことから、彼らの死に対して深い意味を持つようなことがしたかった。それで3年前にこの映画祭を始めたの」と明かした。
どんな作品が出品されているのか。「社会的な作品。人間に興味を示し、社会的にも意味合いのある作品を選考し、根拠のない暴力に触れた作品は選考しないようにしてきた」とノラは答えた。一方、これまで10年間映画批評をしてきた広報担当のキアラも「大衆向けの映画のように暴力を美化することなく、時事問題について描いた作品を選考してきた同映画祭の一貫性に、批評家でもあるわたしは感服しています」と語った。批評家の間でも話題になっている映画祭のようだ。最後に同映画祭を通して観客に伝えたいことについて、ノラは「この映画祭に来る人たちは、すでに社会の出来事に興味を持った人が多いけれど、出品されているどの作品にも価値があり、商業的な映画館では観られない作品で、それらの映画を通して新たな世界を発見できると思う」と笑顔で語った。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)