ケイティ・ホームズが双極性障害の女性役に挑戦した理由
ケイティ・ホームズが、双極性障害を真摯(しんし)に描いた話題作『タッチト・ウィズ・ファイア(原題) / Touched with Fire』について、2月5日(現地時間)にニューヨークで行われた記者会見で、ポール・ダリオ監督と共に語った。
本作は、双極性障害の詩人カーラ(ケイティ)が、ある日精神科で出会ったマーコ(ルーク・カービー)の知識の豊富さや優しさに惹(ひ)かれ恋に落ちるものの、自身の妊娠により反対する両親との間でさまざまな問題が生じるというドラマ。共演はクリスティーン・ラーチ、グリフィン・ダンなど。ダリオ監督は初めて長編のメガホンを取った。
昨年のSXSW(サウスバイサウスウエスト)出品時は、『マニア・デイズ(原題) / Mania Days』というタイトルだった。「ロードサイド・アトラクションの配給決定の際に、彼らから誰もが“マニア”という言葉と(今作の題材の)愛を結びつけて考えるとは思えないと指摘された。タイトルを聞くと、ある人はまるで患者が注射器で人を刺すようなホラー映画と思うかもしれないと言われた。僕自身もそんな印象をタイトルで与えたくはなかった。そこで考えたのが、僕が今作を手掛けるうえで影響を受けた、双極性障害について記したケイ・レッドフィールド・ジャミソンの書籍『Touched with Fire』で、タイトルが適していると思い、変更した」とダリオ監督が明かした。
双極性障害の患者を演じるうえでケイティは「当初、双極性障害に関してほとんど知らなかった。(双極性障害の)ポールに会って、彼自身の個人的なストーリーをスクリーンに映し出すという情熱に影響を受けたの。それに、そのような挑戦的な役を演じる機会を選択することは正しいとも思えた。わたしも共演者のルークも事前にそれぞれ下準備をし、多くのリハーサルも行った。さらにポールの指示にも頼った。現場ではキャストやクルーはさまざまな双極性障害の患者の話を共有していた。多くの人がいかに双極性障害の患者に影響を受けているか理解でき、今作にも深い意味合いを持たせてくれた」と答えた。
今作の魅力とは「リアルなキャラクターを描いていること。誰かが持つ双極性障害の概念を描いただけではなく、双極性障害というものがどういうものなのかリアルに描いているの。ポールの実体験が、われわれ演者にも信ぴょう性のある演技をさせてくれた」とケイティは語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)