朝から飲み放、たばこもOK!異色の映画祭「新宿国際映画祭」って?
「新宿国際映画祭2016」が11日・13日・14日の3日間にわたり東京・新宿で開催された。映像団体がトーナメント戦で優勝を競う一風変わった趣向のほか、「朝から飲み放題」に喫煙可(分煙)というユニークな試みについて、主催者の加賀賢三氏がその意図を語った。
今回第1回を迎えた同映画祭は、さまざまな分野で活躍している7つの映像団体が参加し、観客の投票で勝敗が決まるトーナメント戦で最も優れた団体に贈られるグランプリを競うのが大きな見どころ。11日と13日にはそれぞれAブロック・Bブロックに分かれた1回戦が行われ、14日には勝ち抜いた4団体の中からグランプリを決定した。
料金は2,500円、時間は10時~17時で、上映の合間には参加団体の監督やキャスト、特別招待作品のゲストが登壇するトークショーも開催。通常は飲食店として営業している Gyoen ROSSO 198 を会場にしていることから、朝からアルコール飲料を含むドリンク飲み放題というのも特色で、上映会場のすぐ脇にあるバーカウンターには上映の合間に観客が列をなす光景も見られた。3日間でゲストを含めて200名近い映画ファンが来場し、グランプリにはNHK大河ドラマ「真田丸」のオープニング映像も手掛けた「BABEL LABEL」が輝いた。
映画祭について「新宿というカラーを出せるのではないか」と語った加賀氏は、「上映する作品を『面白い』と言ってくれるのもそうですが、映画祭自体を『楽しい』と言ってくれるお客さんも多くいて嬉しかったです」と手応えを感じたという。上映と上映の合間には映像制作スタッフと観客が飲みながら映画を語らう姿もあり、その距離感の近さは夜な夜な酒場で盛り上がる「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の魅力をコンパクトにした印象も。その意図を尋ねると、「むしろああいう飲みながら映画を語ることを楽しみに行っているところがあるならば、それをメインにしたいとも思いました」と語った。
また、トーナメント戦を採用した理由については「作品を観るだけならDVDで流すだけでいいかもしれませんが、映画祭として人を集めるものなので、特色を出していけたら。勝ち負けがあると観客の方も集中して観たり、一喜一憂したり、番狂わせもあったり、そういうところで楽しめたらと思いました」と鑑賞するだけでは終わらないドキドキ感を加えたかったという。
参加した監督からも「1回戦でどの作品を出すのか考えるのも面白かったです」との声があり、加賀氏は「映画は作って上映するだけで完結しがちです。なかなか横のつながりもなくライブの対バンのようなものがないので、インディペンデントもそうでない人も含めてあえて団体として参加していただいて、そういうシーンを作りたいなと」と意図を語った。
第2回もすでに2017年のゴールデンウイークに開催予定。“国際都市新宿”として海外作品の参加にも力を入れいく方向で、「監督や作品もですが、映画祭自体のファンの人が来てくれるようになればいいと思います」と期待を込めた。(取材・文:中村好伸)