「母に感謝」アカデミー賞・科学技術賞受賞の中垣氏
アカデミー賞・科学技術賞の授賞式が13日(現地時間)、アメリカ・カリフォルニア州で行われ、3Dペインティングツール「MARI」の開発に携わった日本人エンジニアの中垣清介氏が同僚と共に登壇、家族へ感謝の気持ちを語った。
映画業界に貢献した技術や技術者に贈られるアカデミー賞・科学技術賞。映画芸術科学アカデミーは、受賞理由を「3Dへの着色を格段に効率化させるシステム『MARI』を開発。『MARI』はコンピューターグラフィックスの分野で幅広く使用されており、製作現場の負担軽減に大いに貢献した」と発表した。中垣氏が所属するイギリスのソフトウェア会社 The Foundry によると、「MARI」は『アバター』『ゼロ・グラビティ』『ジュラシック・ワールド』など数々の大作映画のCG製作に活用されているという。
同僚のジャック・グリーズリー氏、ダンカン・ホプキンス氏、カール・ランド氏と共に登壇した中垣氏はスピーチで、「MARI」の開発に関わった人々の名前を読み上げ、今回の受賞は自分たちだけの功績ではないことを強調し、自身の妻と子どもたちにも感謝を述べる。
最後は母に向かって、「育ててくれてありがとう。そして、10歳の僕にコンピューターと分厚いプログラミングの本を買ってくれてありがとう。そういうことが、頭のいい人やお金持ちの人にとっては人生のターニングポイントになるんだろうけど……。ごめん、僕の場合はそうならなかったね。僕はコンピューターゲームにハマって、分厚い本は肘掛けとして活用しました」と会場の笑いを誘った中垣氏は、日本語で「ありがとうございました」と言って一礼し、受賞のスピーチを締めくくった。(編集部・海江田宗)