ナチス政権下のベルリン五輪で4冠を達成した男とは?ジェレミー・アイアンズが称賛
映画『運命の逆転』でアカデミー賞主演男優賞を獲得した名優、ジェレミー・アイアンズが、2月1日(現地時間)に行われたニューヨークのAOLのイベントで新作『レース(原題) / Race』について語った。
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本作は、1936年のベルリンオリンピックで、男子短距離と跳躍種目で4冠に輝いた米男子陸上選手ジェシー・オーエンス氏を描いた伝記映画。テレビドラマ「カリフォルニケーション」のスティーヴン・ホプキンスがメガホンを取り、ジェレミーは、1936年当時の米オリンピック委員会の会長アベリー・ブランデージ氏を演じた。
ナチスが支配するドイツで開催されるベルリンオリンピックを、アメリカがボイコットすることに反対し、参加することを推進したこの人物について、ジェレミーは「もともと彼は、シカゴの建築業界の大物で、彼はアマチュアのスポーツが好きで、さらにスポーツは政治を超越したものと信じていた。ドイツの当時の状況を気にせずに、アメリカの選手に国際的に競争できるチャンスを与えたんだ。そしてスポーツが人々を結びつけると信じて、米オリンピック委員会で大議論を展開した。僕自身は、彼が取った選択は正しいと思っている」と熱意を持って語った。
当時のナチスに関して「1936年(インターネットやテレビのなかった)当時は、(アメリカ人の多くは)ドイツの政治的立場に関してよく理解していなかった。時代物の作品は、今日の見識から当時を振り返って見るのではなく、当時の見識で描くことが重要だ。個人的には、1936年と現在では、(まだ差別のある状況下で)それほど変わらないと思っている」と個人的な見解を述べた。
ジェシーさんが受けた差別に関して「ジェシーは、ベルリンオリンピックで4冠を達成したにもかかわらず、彼の偉大な存在についてそれほど認識されていなかった。ニューヨークに戻ってきてすぐ、スポーツクラブでジェシーの祝杯をあげたときでさえも、彼は黒人であることから(正面からは入れず)キッチンの入り口から入ったんだ。(今から考えると)かなりクレイジーな話だが、そんな歴史が僕らにさまざまなことを教えてくれて、個人的に引きつけられる映画だと思う」と自信をのぞかせた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)