リリー・フランキー、15年ぶり主演映画に自虐発言を連発
リリー・フランキーが27日、都内で行われた主演映画『シェル・コレクター』の初日舞台あいさつに出席、本作を観終えたばかりの観客に「ご覧になった後?」と確認すると、「どうりで、お客さんがポカンとしてると思いました」と納得しているかのような発言で一同を笑わせると、その後もシニカルなコメントを連発して会場を沸かせた。この日は、共演の寺島しのぶ、池松壮亮、橋本愛、坪田義史監督も登壇した。
本作は、作家アンソニー・ドーアのデビュー作を基にしたファンタジーで、沖縄の離島で厭世的に暮らす盲目の貝類学者(リリー)の静かな生活が、世界に蔓延する奇病を偶然にもイモガイの毒で治したことで揺らいでいくさまを、五感を刺激する映像の中に映し出す。
リリーは、「企画の段階から映画にならないだろうと思いながら撮影が始まり、撮った頃には上映はないだろうと思った」と15年ぶり主演映画に対して自虐的。関係者30人くらいで初めて試写を観た時も「観終わった後、誰も拍手もしない、しゃべらない」という初の状況に陥ったことを明かし、本作の世界観が独特であることを強調する。
しかし、坪田監督は前作でも似たような経験をしたそうで、「視覚的にも聴覚的にも触発するものを作ったので、お客さんがシーンとするのは悪いことではない」とキッパリ。「僕の作品がお客さんの体に溶け込んでいる」とまで語り、リリーから「超ポジティブな解釈ですね」とツッコまれていた。
橋本も最初は「脚本がひっちゃかめっちゃかと思った」と話すが、「出来上がると違和が溶け込んで、丁度いい感じになっていた」と安堵の表情。現場では「たくさんおかしなことをやった」そうで、「一人で船を動かす超人的なシーンがありました」と述懐。結果的に「良い感じにフワッとしている感じに落ち着いた」と橋本が言うも、リリーは「現場で監督におかしいよとみんなで言っていたけど、今となってはもう全部入れちゃえば良かった。どうせデタラメなんだから」とぶっちゃけ。15年ぶりの単独主演映画をけなしまくるリリーだが、やはり公開に喜びもあるようで、最後は「目を閉じて、いろんな感覚で感じていただければ」と穏やかにアピールした。(取材/錦怜那)
映画『シェル・コレクター』は全国公開中