チャップマン・トー初監督作が日本で上映!一時休業後、新天地マレーシアで活躍
香港の人気俳優チャップマン・トーが主演&初監督を務めた『ご飯だ!』(マレーシア・シンガポール合作)が先日閉幕した第11回大阪アジアン映画祭で海外初上映された。2014年に台湾で起こったひまわり学生運動を支持する発言をして批判を浴び、香港での活動の場が制限される事態となっていたが、新天地として選んだマレーシアで順調にキャリアを重ねているようだ。
トーは映画『インファナル・アフェア』シリーズや、第8回大阪アジアン映画祭で主演作『低俗喜劇』(2012、日本未公開)が招待上映されるなど香港映画ファンにお馴染みの俳優だ。また日本未公開だが、トー演じる主人公が日本で人気AV男優になる『3D豪情(原題)』には加藤鷹や夕樹舞子らセクシー俳優たちが多数出演しており、日本とも馴染みが深い。
しかし2014年3月に政府の中台サービス貿易協定批准強行に端を発した学生たちによる立法院占拠事件が起こり、トーは支持を表明。これが中国のネットユーザーから批判を浴びて出演映画のボイコット運動などに発展。中国系の大手映画会社も今後起用しないことを公言し、トーは一時休業を余儀なくされていた。
そのトーに救いの手を差し伸べたのが、国民の約25%が中国系(外務省HPより)であるマレーシアだった。トーは2014年12月に、マレーシアの企業と合同で製作会社「ドリーム・ムーン」を設立。2015年の『King of Mahjong 麻雀王(原題)』(マレーシア・シンガポール合作)で主演復帰し、2作目となる『ご飯だ!』で監督デビューも果たすこととなった。
今回、トーは身内に不幸があったため、来阪予定がキャンセルになった。代わってプロデューサーのテック・リムが舞台挨拶に立ち、「チャップマンは才能豊かな人で、常に新しい事を求めて挑戦し続けている。『King of Mahjoung 麻雀王(原題)』製作中に2作目の話になった。彼が主演するのだから、せっかくなので監督もお願いしようと思ったのです。彼からの返事は『劇中で食べることができるならいいよ』でした(笑)」と製作経緯を説明した。
映画『ご飯だ!』は、シンガポール名物・海南鶏飯が売りの老舗食堂リニューアルをめぐり、海外でホスピタリティー・マネージメントを学んだオーナーの娘と、シェフが対立を繰り広げるトーお得意のコメディーだ。シェフ役のトーは、自慢の腕前を披露している。(取材・文:中山治美)