監禁された母子描く『ルーム』、“部屋”にあるのは本当に二人が作ったもの!
映画『ルーム』で7年間“部屋”に監禁され続けたジョイとそこで生まれた幼い息子ジャックにふんしたブリー・ラーソン&ジェイコブ・トレンブレイが来日し、この難役を演じるため、どのように準備したのかを明かした。
ジャックを傷つけまいとするジョイは、彼には悲惨な現実を見せないようにと“部屋”の中だけが全世界であると教え込み、そこをガラクタから作ったおもちゃや絵でいっぱいにしている。撮影の3週間前から一緒に過ごしたブリーとジェイコブは、何とそうした小道具も自分たちで作ったという。
「僕たちは何でも作ったんだ! アート部の人たちから絵も描いてって頼まれたんだよ」とちょっぴり自慢げなジェイコブ。ブリーが「わたしたちが作ったおもちゃや描いた絵を“部屋”に持っていって、壁に飾ったりしたの。アドリブでのリハーサルみたいなものよ」と語るように、一緒に物を作り、そしてそれらを飾ることも母子を演じるための準備になった。ジェイコブも「あそこにある物は本当に僕たちの物なんだ。だから本当に“部屋”に居るように感じた」と振り返る。
本作で第88回アカデミー賞主演女優賞に輝いたブリーは、ジャックを守ろうと奮闘する強い母だけでなく、彼が見ていないところではうつろな目に疲れといら立ちをつのらせ、“部屋”を脱出した後ももがき苦しむ一人の女性を繊細に演じている。「一度に複数の演技をしなくてはいけないというのが、この役の難しい部分だった。“部屋”に連れて来られる前の彼女はどんな人だったのか、“部屋”でどんなことがあったのかを理解しなくてはいけなくて、自分の家に戻ってもかつてと今の彼女の間にはギャップがあって……。でもチャレンジは楽しいし、8か月間の役づくりを終えた時には準備ができていればいいと思っていたわ」。
ブリーはその8か月でトラウマの専門家に会って性的虐待の与える影響などについて話し合い、日に当たらず、食事の制限をして体重を落とす一方で、子育てをしている母親らしい筋力をつけた。ブリーの研ぎ澄まされた演技、そしてブリーの泣く演技の後にはジェイコブがジャクソン5の曲を歌って彼女を励ますなど、本物の絆で結ばれた二人が体現した親子愛はスクリーンで輝いている。(編集部・市川遥)
映画『ルーム』は公開中