新作はマイケル・ケイン&ハーヴェイ・カイテルとの“共同脚本”!ソレンティーノ監督が明かす
第86回アカデミー賞外国語映画賞に輝いた映画『グレート・ビューティー/追憶のローマ』のパオロ・ソレンティーノ監督がメールインタビューに応じ、新作『グランドフィナーレ』は主演のマイケル・ケイン&ハーヴェイ・カイテルと「ある意味、共同で脚本を執筆したといえるでしょう」と明かした。
『グランドフィナーレ』は、アルプスの美しい高級ホテルで休暇を過ごす引退した音楽家フレッド(マイケル)とその親友で現役映画監督のミック(ハーヴェイ)の姿を描くドラマ。元サッカー選手(明らかにマラドーナ)や自身の代表作のイメージから脱却できない俳優など、それぞれに問題を抱えた人々とのおかしな交流を通じ、二人はある思いを抱くようになる……。
ソレンティーノ監督は脚本執筆の段階からフレッド役にはマイケルを想定しており、ミックについてもハーヴェイに絶対に演じてほしかったという。「偉大な俳優にしかできないことですが、彼らは普通の人なら見過ごしてしまう周囲の出来事を観察し、その瞬間を捉えることができるのです」と二人の名優をたたえると、「わたしは脚本を書き、撮影することで“観察”していますが、彼らは体や目を通して“観察”しているのです。“現実を観察している”という意味では、わたしたちは同じ仕事をしているように感じます」とコメント。だからこそ、マイケル、ハーヴェイを本作の共同脚本家のように感じているという。
フレッドとミックは親友だが、お互いに嫌だったことや悲しかったことなどは一切話さず、その関係はフレッドの娘(レイチェル・ワイズ)には理解されない。どんなことでも打ち明けることが友情とみなされることが多い中で、とても特殊な関係だ。「彼らの友情はとても緊張感があり、真の愛情とも取れる関係性です。彼らの選んだ“いいことしか話さない友達”というのはそういう意味だと思っています」(ソレンティーノ監督)。
長年タッグを組んできた撮影監督のルカ・ビガッツィにも「本作は完全にキャラクターたちが中心となるタイプの映画で、カメラそのものが注意を引いてはいけない」とだけ伝えたというソレンティーノ監督。言葉と映像の魔術師の名をほしいままにするソレンティーノ監督に脚本から映像から影響を与えたマイケルとハーヴェイだけに、スクリーンでそれぞれにキャリア最高というべき輝きを放っているのは当然といえるだろう。(編集部・市川遥)
映画『グランドフィナーレ』は4月16日より全国公開