世界に名を残す天才ギタリストの正体…ひたむきにギターと向き合う

　日本にも馴染みの深い音楽・フラメンコに革命を起こし世界のギター史に名を残す偉大なギタリスト、パコ・デ・ルシアの素顔に迫ったドキュメンタリー映画『パコ・デ・ルシア　灼熱のギタリスト』の予告編が公開され、天才ギタリストが孤独に、ひたむきにギターと向き合う姿がお披露目された。

　超絶的な速弾きと類まれなテクニックで、世界中の音楽ファンを魅了し続けたパコ・デ・ルシア。12歳でプロのフラメンコ・ギタリストとしてデビューした彼はフラメンコにとどまらず、ジャズ・フュージョンにも活躍の場を広げ、世界を舞台にツアーを敢行。世界へ挑戦し続けたパコはフラメンコを伝統芸術から世界的なものへと変貌させた。2014年に66歳で急逝したものの、先日、米ボストンで開催されたフィギュアスケートの世界選手権で優勝したハビエル・フェルナンデス選手が同大会で使用したのもパコの曲だった。

　公開された映像には、「ギターが人生そのものになるとは想像もしなかった」と語るパコがギターを奏でる姿や、カルロス・サンタナ、チック・コリアといった世界的ギタリストがパコの功績についてインタビューに応じるシーンが収められている。しかし、何よりも印象的なのはBGMとして流れる美しく情熱的な音色の数々。パコが演奏する音楽は決して色あせることなく、ギターの心地よさに満たされる予告編になっている。

　本作はパコの実子であるクーロ・サンチェス監督が、演奏家としての父親の軌跡を追った渾身の作品。孤独を愛した天才の正体を、身内だけに許される領域に入ったカメラが余すところなく映し出している。（編集部・海江田宗）

映画『パコ・デ・ルシア　灼熱のギタリスト』は7月よりBunkamuraル・シネマほか全国公開