不思議な「しんちゃん」ワールド作る三原三千夫の世界
『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』の世界観を構築したキーパーソンは、監督・脚本の高橋渉、脚本の劇団ひとりだけではない。
その一人である三原三千夫は、本作でキャラクターデザインやイメージボード、画(え)コンテを担当。テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」のほか、高橋監督の長編監督デビュー作『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』にも原画で加わっていたが、今作で本格的に『映画クレヨンしんちゃん』に携わることになった。
高橋監督が「すごい才能を持っている方」と手放しでほめる三原のイメージボードは、非常に色鮮やかだ。スタジオジブリの『もののけ姫』や、今敏監督の映画『パプリカ』、数々の「しんちゃん」作品で知られる湯浅政明監督のテレビアニメ「四畳半神話大系」などに参加してきた三原だからこそ表現できる、カラーリングやイメージがこれでもかと詰め込まれている。彼の手腕に、高橋監督は「新しいしんちゃんの絵ができているなと思いました」とほれぼれとした表情を見せる。
劇中に登場する貫庭玉夢彦を含め、三原が描いたキャラクターは筋肉の付け方や目の表情など、より「しんちゃん」らしさを得るためにキャラクターデザイン担当である針金屋英郎の手によってブラッシュアップされたのだそう。そして「夢の世界」という不確かな存在を見事に“不思議な世界”として表した本作が誕生した。
また画コンテにも参加しているということで、シナリオの随所にも本作には三原のアイデアが入っているとのこと。劇中、男の子がケーキの夢を、女の子が恐竜の夢を見るという固定概念にとらわれないような子供たちの夢のシーンは、三原のイメージを使ったもの。そのほかにも、三原のイタズラによって生まれたシーンなどもあるという。『クレヨンしんちゃん』チームを率いている高橋監督は、ギャグも含めてスタッフ一丸となって制作していると自信を見せていた。(編集部・井本早紀)
『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』は公開中