やりたいことをやるために!ディズニーで夢を追うアーティスト
1997年にウォルト・ディズニー・ピクチャーズに入社し、『アトランティス/失われた帝国』『塔の上のラプンツェル』などの数々のディズニー作品に携わってきたアーティスト・マット鈴木は、まだディズニーにはない新たな部署を実現させたいという夢の持ち主だ。
最新作『ズートピア』では、プレビジュアリゼーション(初期映像化)やレイアウトを担当した鈴木。映画では多種多様な動物たちの性質に合わせて、さまざまなセットが形成されている。そのため植物が生い茂る「レインフォレスト」(熱帯雨林のエリア)のシーンは作らなければならないセットも多く大変だったと明かす。
だがそれらのシーンを作っていく上で、より画面を作り込みたいという欲もわいてきたよう。ディズニーでは、カメラの角度によって見えなくなる裏側の部分までCGを完璧に作るという方針を取っているが、鈴木は実写作品のようにカメラの見える部分のみに注力してピンポイントで美しい画像を作る「カメラベーストデザイン」という部署を立ち上げたいのだという。
その夢の実現のために、上司たちへのプレゼンや相談を重ねているとのこと。ただディズニーという巨大な組織がゆえに、うまくいくかはわからないと鈴木は語る。しかし夢の実現化のため『ベイマックス』『ズートピア』でもその技術を生かして、作り込んだ画面という“作品”を上に見せ、立ち上げようとしている部署の良さを少しずつ伝えているのだそう。彼の原動力は、映画づくりが好きだという気持ち。「仕事が作業的にきつくなっても、つらいとは思わずに、面白いことをたくさんできるからうれしいと思っちゃうんですよね」と語る彼の目は、『ズートピア』で一人前の警察官を夢見るジュディのようにキラキラと輝いていた。(編集部・井本早紀)
映画『ズートピア』は全国公開中