七之助、古田新太・橋本じゅんは「恐ろしい人たち」
歌舞伎俳優の市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助が17日、都内で行われた映画『シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉』完成披露上映会に登壇し、劇団☆新感線の古田新太と橋本じゅんに「恐ろしい人たち」と感服する場面があった。
本作は、歌舞伎の舞台を撮影して映像化したシネマ歌舞伎の最新作。歌舞伎による新しいエンターテインメント「歌舞伎NEXT」の第1弾作品で、劇団☆新感線のいのうえひでのり、中島かずきと組んだ意欲作だ。今回の映画化にあたっては2015年7月の新橋演舞場での公演が収録・映像化されている。
七之助は「大げさかもしれませんが、歌舞伎の歴史の1本目を染五郎お兄様と一緒に踏み出せたことはうれしかった」と喜びを語ると、以前から観ていて、出演したかったという劇団☆新感線の舞台について「皆様から、観るもので、出るものじゃないよと言われていて」と明かしながら「まさしくその通りでした。地獄でした」と述懐。「平均年齢の高い、養老院みたいな人たちが走らされて、けが人続出ですよ」と笑顔でぶっちゃけると、「それで休演日がないでしょ。まあ大変でしたね」と苦労を語った。
稽古ではビックリしたことがあったそうで、「『2歩歩いて、左を向いてこのセリフを言ってください』などと型が決まっていて」と話すと、「いつも観ている劇団☆新感線の方もそういう演出をされているんだなと。古田新太さんや橋本じゅんさんの演技を見て自由にやっているなーと思っていたのですが、あの二人もあの演出を受けて、毎回新鮮に自由にやっているように見せているわけですから、改めて恐ろしい人たちだなと思いましたし、自分もそこに向かわなければならないと思いました」と古田らの演技に刺激を受けた様子だった。
平安初期に大和朝廷軍と戦った蝦夷の族長をモデルに、彼らの運命を描いた歴史物語。「シネマ歌舞伎の価値は何度も上映するたびに上がってくるもの」だと言う染五郎は、「阿弖流為に関しましては19台のカメラが入りまして、始まって以来、最多の数」と自信をのぞかせた。最後には、18日に33歳となる七之助にバースデーケーキが贈られ、兄・勘九郎が「これ、爆発するやつですよね? それか、足を滑らせて顔をつけるやつではないですか?」とおどけてみせ、染五郎が七之助にひと口食べさせてあげる和やかなシーンで会場のファンを魅了していた。(取材:杉田直子)
映画『シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉』は6月25日より新宿ピカデリーほか全国公開