グザヴィエ・ドラン、豪華仏キャスト集結の新作は「最高傑作」
第69回カンヌ国際映画祭
現地時間19日、グザヴィエ・ドラン監督が第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている映画『イッツ・オンリー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(英題) / It's Only the End of the World』の会見に出席し、ギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイら豪華なフランス人キャストが集結した同作はキャリア史上「最高傑作」だと語った。
本作は、ジャン=リュック・ラガルスの戯曲の映画化作品。まもなく死ぬことがわかった若き作家のルイ(ギャスパー)は12年ぶりにフランスで暮らす家族のもとを訪れるが、兄(ヴァンサン)、妹(レア)、母(ナタリー)は口を開けばののしり合いとなり、なかなか本意を伝えることができない。ルイと秘密を共有する兄嫁には、マリオンがふんしている。
ドラン監督は、原作の登場人物全員がいかにナーバスになっていて、表面的で意味のないことを語っているかに惹かれたという。「彼らはあらゆることを話すけど、本当に感じていることは言わないんだ」。映画のほとんどを登場人物の顔のクローズアップで構成した理由もそこにあるといい、「彼らにとても近づく必要があった。メッセージは言葉の中にではなく、その沈黙、登場人物たちの表情の中にあるから」と説明した。
カンヌの申し子いうべきドラン監督が「最高傑作」だと評する本作だが、プレス試写の反応を見るかぎりそのクローズアップの多用は万人に受け入れられたとは言い難い。27歳の秀英は同じくカンヌに出品されて賞を受賞した『マイ・マザー』や『わたしはロランス』でも評価が割れたことを引き合いに出し、今回の反応も気に病んではいないという。
撮影では指示を出す間もカメラを回し続け、大量の映像を撮るのがドラン流。キャスト陣は、ドラン監督はビジョンが細部まで明確で、コミュニケーションが取りやすいと口をそろえ、レア・セドゥは「わたしたちはグザヴィエのことを愛している。そして、誰もが彼に愛されたいと思ってしまうの」と語り、隣に座ったドラン監督を照れさせていた。(編集部・市川遥)
第69回カンヌ国際映画祭は現地時間5月22日まで開催