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『淵に立つ』深田晃司監督、カンヌ審査員賞受賞に「とってもびっくり」

第69回カンヌ国際映画祭

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キャストの古舘寛治&筒井真理子と喜びを分かち合った深田晃司監督(中央)
キャストの古舘寛治&筒井真理子と喜びを分かち合った深田晃司監督(中央)

 映画『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員賞を受賞した深田晃司監督(36)が現地時間21日に行われた授賞式後、興奮冷めやらぬまま囲み取材に応じた。同日午後過ぎに映画祭側から「受賞したので授賞式に来てほしい」という連絡を受けたが、何を受賞したのかは教えてもらえなかったといい、「審査員賞というのは今、壇上で初めて知ったので、とってもびっくりでした。そこの驚きは本物の驚きでした。演技じゃないです」と上気した顔で語った。

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 『淵に立つ』は、下町で金属加工業を営む夫婦(古舘寛治筒井真理子)のもとに突然一人の男(浅野忠信)が現れたことから奇妙な共同生活が始まり、一見平和だった家族に“異物”が混入することで夫婦それぞれが抱える秘密があぶり出されていくさまを描いた衝撃作。授賞式では深い家族の物語だと紹介されていたが、深田監督は「取材中に海外のメディアから言われたのは、俳優の演技が素晴らしいということ。もう一つは、家族の描き方が新鮮に映ったということ」と受賞の理由を分析し、「スタッフ・俳優の総力で作った映画なので、その力が認められたことが何よりうれしいです」と笑顔を見せる。

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深田晃司監督とマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督
深田晃司監督と特別賞を受賞したスタジオジブリ『レッドタートル ある島の物語』のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督

 初カンヌにして受賞となり緊張&興奮気味の深田監督のスピーチは、授賞式のハイライトとなったといっても過言ではないほど会場は大いに沸いた。だが、深田監督は「他の登壇者のスピーチが思ったより短かったので、だいぶ端折りました」と苦笑い。

 「今ちょっと落ち着いたので言うと、『日本には優秀な監督がたくさんいます。ただ海外に出るための制度は未熟だと思います。日本はこれだけフランス映画が好きで、フランスもこれだけ日本映画を愛してくれているのに、残念ながら両者の間には一緒に映画を作るという協定がありません。例えば韓国とフランスの間には結ばれているのに、なぜ日本は結べないのだろう……。新しい才能がより外へ出ていき、自由に映画を作るための制度が日本には不足しています』ということを、一番みんなが言うことを聞いてくれるタイミングなのでこの機会に言ってみようかなと思ったんですけど、ほかの人のスピーチは短かったので……(笑)」と振り返っていた。(編集部・市川遥)

第69回カンヌ国際映画祭は現地時間5月22日まで開催
映画『淵に立つ』は今秋、有楽町スバル座ほかにて全国公開

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