多部未華子、蜷川幸雄さんの言葉忘れない決意明かす
12日に亡くなった世界的演出家の蜷川幸雄さんが演出・監修を務めていた「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の舞台「尺には尺を」の公開稽古が24日、埼玉県にある彩の国さいたま芸術劇場で行われ、同舞台に出演する多部未華子と藤木直人が、蜷川さんの言葉や思い出などについて語った。
公開舞台稽古の後に取材に応じた多部は、「今も舞台のどこかに(蜷川さんが)いるんじゃないかという気がする。寂しいです。自然と近くにいるような気がしている」と蜷川さんの死をまだ受け入れられていない様子。一方の藤木は「本当にスタッフ達と衝撃を受けました。今回の稽古場に蜷川さんが復帰すると思っていた。戻ってこられたときにちゃんとしたものを見せたいと思っていた。それが叶わず残念」と無念そうに語った。
今作の舞台出演について多部は「私は蜷川さんと仕事をするのは2作目で、1作目が大阪で千秋楽を迎えたときに私が『蜷川さんのシェイクスピアをやりたい』と直談判してここに立っている。『一緒にシェイクスピアをやろう』という蜷川さんの言葉を常に忘れずに芝居をします」と決意を告げた。
また藤木は「蜷川さんは新しい解釈を続けた方。ワールドツアーにも行かせてもらったが、演劇人にも熱狂的に迎えられていた。お客さんの反応もよくて蜷川さんのすごさを肌で感じました」と故人を偲んでいた。
本舞台は、蜷川さんの演出・監修のもと、シェイクスピア戯曲全37作品の上演を目指し1998年にスタートしたシリーズの第32弾。ウィーンを治める公爵ヴィンセンショー(辻萬長)から領地での全権を委任され、厳しく町を取り締まるアンジェロ(藤木)は若い貴族に死刑を宣告する。その貴族の妹イザベラ(多部)は慈悲を求めてアンジェロに面会するが、アンジェロは彼女に恋をしてしまい……。(取材・文:波江智)
舞台「尺には尺を」は5月25日から6月11日まで彩の国さいたま芸術劇場にて公演