暴力も血も本物…ガチンコ過ぎる『クズとブスとゲス』12針を縫う大けがも
本当に殴り合い、流れる血も本物……。自らビール瓶で頭を殴り、12針を縫う大けがを負った奥田庸介監督渾身のガチンコ映画『クズとブスとゲス』をご存じだろうか? 昨年の第16回東京フィルメックス・コンペティション部門で上映され、奥田監督にスペシャル・メンションが贈られた衝撃作が、7月から全国の劇場で順次公開されることが決まった。
インパクトのある作品タイトル『クズとブスとゲス』に驚いた人もいるかもしれない。本作は、拉致監禁した女性の裸の写真をネタにゆすりで生計を立てるスキンヘッドのいかつい男と、ヤクの運び屋だったリーゼントの男、流されるままに生きてきた女の3人が繰り広げる「純粋無垢な暴力映画」。主人公のスキンヘッドの男は、奥田監督自身が体重を15キロ落として眉を剃り、鼻にピアスも開けて作り出した入魂のキャラクターだ。
映画のために、体に新たな穴を開けるほどの肉体改造を行ったことにも驚愕するが、アクションの全てがリアルファイトということに目が点になる。血のりではない本物の流血、ビール瓶で頭をカチ割った際には病院直行で撮影が中断。通常の映画では考えられない演出は、クラウドファンディングで資金を調達し、スポンサーや映画会社の制約などから解放された本作ならでは。公開されている予告編では、がっつりと殴り合っている様子のわかるシーンも収められている。
大森南朋を主演に迎え、『東京プレイボーイクラブ』(2011)で華々しく商業映画デビューを飾った奥田監督は、以降思うように作品を撮ることができず、日雇いや夜の世界に身を投じていたという。くすぶっていた思いを4年ぶりの長編新作となる『クズとブスとゲス』にぶつけた格好だ。そんな奥田監督は「もはや映画とは呼べないぐらい個人的なシロモノなのですが、薄汚く自己正当化しますと、今のこの日本文化の有り様だからこそこんな映画があって良いと思います」とコメントしている。(編集部・小松芙未)
映画『クズとブスとゲス』は7月30日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開